著者 : 近藤啓太郎
微笑微笑
癌の妻を救うために奮闘する作家の体験記。-寿美は眠りながら、微笑をうかべていた。顔は少し痩せているが、一向にとげとげしいところがなく、優しく美しい微笑の表情であったー。いつも元気で病気とは無縁だった妻・寿美が、お腹の違和感を訴えた。いくつかの病院にかかるものの、いずれも胃カタルとの診断。だが、実際には卵巣癌で、余命いくばくもないことが判明する。お世辞にも愛妻家ではなかった「私」は、その日からなりふり構わず治療法を探しはじめる。臍の緒、梅の木に生えた猿の腰掛、研究中の新薬…。効果があったのか、手の施しようのなかった状態から、手術できるまでに病巣は小さくなり、1年以上持ちこたえたがー。芥川賞作家が万感の思いを込めて綴る体験記。
男あそび男あそび
美貌のOL純子は21歳のとき、20歳年上の日本画九鬼と出会い、初めて性の歓びを知った。やがて若い純子は九鬼と別れ、家庭をもち共稼ぎ主婦となるが、会社の周囲から信頼され、管理職として活躍する。しかし人生の充実感が感じられず、その不満から途絶えた九鬼との関係が復活する。そして以前にも増して深い性の充足を覚える。だが純子の好色はプロ野球選手、取引先のエリート社員などと交渉を持つが、いずれも満足できず、また九鬼のもとに帰って行く。純子の25年におよぶ半生の性と愛との真実の姿を描く。
PREV1NEXT