著者 : 魯迅
日雇いで暮らす阿Qは、周囲にバカにされひどい目に遭わされても、一種の精神的勝利法で問題から目を逸らしていたー。当時の中国社会を痛烈に風刺し、社会変革を目指した魯迅の代表作。辛亥革命の失敗点を暴き、民族的決意を促そうとした表題作で、魯迅は文学史にその名を刻んだ。ほかに、デビュー作「狂人日記」、終生の師を描いた「藤野先生」、「孔乙己」「小さな事件」「故郷」「家鴨の喜劇」「孤独者」「眉間尺」を収録。
魯迅が中国社会の救い難い病根と感じたもの、それは儒教を媒介とする封建社会であった。狂人の異常心理を通してその力を描く「狂人日記」。阿Qはその病根を作りまたその中で殺される人間である。中国社会の欺瞞性を鋭くえぐり出す魯迅最初の作品集。
名前も定かでない日雇い農民の阿Qは「精神勝利法」という一種の癖を持っており、喧嘩で負けようが、笑い者にされようが、結果を自分の都合の良いように取り替え、心の中で自分の勝利としていた…。当時の中国社会にはびこる問題を風刺的に描き、辛亥革命の失敗点を強く指摘したとされる『阿Q正伝』他『狂人日記』『藤野先生』など5編を漫画化。
魯迅が中国社会の救い難い病根と感じたもの、それは儒教を媒介とする封建社会であった。狂人の異常心理を通してその力を描く「狂人日記」。阿Qはその病根を作りまたその中で殺される人間である。こうしたやりきれない暗さの自覚から中国の新しい歩みは始まった。
あそらくは一生魯迅(1881-1936)の意中を駆けまわったにちがいない痛罵や皮肉や悲しみを、中国の神話・伝説・史書からの題材に仮託して書かれたもの。『天を補修する話』『わらびを採る話』『剣を鍛える話』他5篇より成る。喜劇的諷刺的内容の濃いこれらの昔物語は、またわれわれにも、時に深刻な、時にユーモラスな感情を起こさせずにはおかない。