死と官能のあわいを漂う。月岡、千秋、指宿…邂逅と不在が綾なす漂泊の果てに男が辿りついた場所はー。藤沢周待望の連作短編集。
妻子と別居中の榊は、恋人を東京に残したまま、地霊うごめく土地を遍歴する。秋田の娼家と清廉な女子高生たち、厳冬の佐渡で理容店の女主人が持つ剃刀、三河八橋で一夜を共にした人妻の乳房、非在ゆえに一層ふくらむ女たちの気配ー官能と死のあわいから異界が立ち現われる瞬間を描く、藤沢周の本格小説集。 2019/04/10 発売