無外流雷がえし(下)
銀次郎の全身から、さながら音を立てて炎を噴き上げていくかのような凄まじい殺気が放たれつつあった。双方まったく動かない。敵の「雷がえし」は殺意を隠し激情を抑え、黙々として暗く澄んでいる。月に雲がかかり、濃い闇が二人を包んだ。闇の中空で鋼の激突しあう音が聞こえ、無数の小さな火花が闇の中を走る。月明かりが戻り、二人の姿が浮かびあがった。ともに息ひとつ乱れていない。
銀次郎の全身から、さながら音を立てて炎を噴き上げていくかのような凄まじい殺気が放たれつつあった。双方まったく動かない。敵の「雷がえし」は殺意を隠し激情を抑え、黙々として暗く澄んでいる。月に雲がかかり、濃い闇が二人を包んだ。闇の中空で鋼の激突しあう音が聞こえ、無数の小さな火花が闇の中を走る。月明かりが戻り、二人の姿が浮かびあがった。ともに息ひとつ乱れていない。