小説むすび | 花嫁は醜いあひるの子

花嫁は醜いあひるの子

花嫁は醜いあひるの子

きっと失敗する。花婿は立ち去り、家族は路頭に迷ってしまう。なぜなら、私は“デュカス家の醜いあひるの子”だから。雄々しいギリシアの海運王ダーメンが待つ祭壇まで歩く間、姉の身代わりとなったカッシアは花嫁のベールの奥で震えていた。ところが、ダーメンは政略結婚を中止にはせず、彼女はそのやさしさにほっとするが、次の瞬間こう言われる。「僕がほしいのは君ではない」そしてなぜか、新婦の唇を奪った。キスは罰のようだったのに、カッシアの体には甘い震えが走った。愛のない結婚で夫に惹かれるほど、つらいことはないのに…。

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