小説むすび | シチリアの苦い果実

シチリアの苦い果実

シチリアの苦い果実

「あの娘、救いようもなく引っ込み思案で平凡ね」嘲りながらささやかれる自分の噂話に、ホープは身をこわばらせた。いまどき珍しいほど内気な彼女には恋人の一人もいない。しかし、ひそかに憧れている男性ならいる。祖父の仕事仲間で実業家のシチリア富豪、ルチアーノだ。今夜は祖父が開いた大晦日のパーティ。もちろん彼も招かれている。夜も更け、やがて新年へのカウントダウンが始まった。恒例のキスでルチアーノが選んだ相手は、なんとホープだった!二人のキスは、新年を祝うにしてはあまりにも熱く甘かった。ある裏取り引きをもくろむ祖父がほくそえんで見ているとも知らず。

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