小説むすび | もう一人のケルサ

もう一人のケルサ

もう一人のケルサ

「手切れ金は払う。だから父とは別れてくれ」社長の御曹司ライルから蔑むような目で見られ、そう一方的に告げられて、ケルサは思わず彼の頬を叩いていた。私を社長の愛人だと決めつけるなんて、酷いわ!だがじつはケルサ自身、なぜ入社早々に気に入られ、社長秘書に抜擢されたのか不可解に思ってもいたのだ。ほどなくして社長が亡くなり、遺産の半分をケルサに遺したことがわかると、ライルの疑念はますます深まったようだった。今度は私を金目当ての女だと罵倒するのかしら?意外にも彼は切なげな表情で、驚くべき真相を口にした。

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