自分の人生を生きるのだ。自分が生きたいように、生きたいだけ、ずっと。重篤な病に憑りつかれ、生死の境をさまよう主人公。自身と、そして家族のもとに現れた「死」を前にして、彼は何を見出したのか。ベルンハルト自伝五部作の第三作、待望の邦訳刊行。
「おとなになっても苦しいままだったら、どうする?」喘息の一息一息の、生と死のあわいのような苦しさ。その時間をともに生きた幼い姉と弟ー。弟の春彦が若くして死を選んでから十年、姉の環も、父と母も、悔いと悲しみを胸に抱きながら、たがいに語ることなく生きてきた。環の十五年ぶりの喘息発作をきっかけに、喪失を抱えたこの家族のあいだをあたらしい風が流れはじめる…。 2023/05/31 発売