小説むすび | 出版社 : 国書刊行会

出版社 : 国書刊行会

ミスター・ピーナッツミスター・ピーナッツ

結婚して13年、ゲーム・デザイナーで小説家の卵のデイヴィッド・ペピンは妻のアリスを深く愛しながらも、妻の死をくり返し夢想せずにはいられない。そしてアリスは不可解な死を迎え、ディヴィッドは第一の容疑者となる。アリスの謎の死を捜査する刑事二人も複雑な結婚生活の経験をもつ人間であった。ウォード・ハストロール刑事は自分の意思で寝たきりとなる妻と静かな闘いを続け、かつて医師であったサム・シェパード刑事は数十年前、妻の惨殺について有罪判決を受け、のちに無罪と認められた過去がある。デイヴィッド、ハストロール、シェパードの人生ドラマがヒッチコック的サスペンスを高めながらエッシャーの絵のように絡み合うなか、メビウスという名の不思議な殺し屋があらわれる。「おれが小説を終わらせてやる」そして現実とフィクションは浸食しあい、読者を迷宮に誘うー愛と憎しみ、セックス、不倫、妊娠、摂食障害、鬱病など結婚生活における諸問題をユーモラスに時にグロテスクな色彩を帯びた文章で緻密に描き、同時にエッシャー的構造の小説化を試みる、実験的かつ大胆な驚異のデビュー作!

選ばれた女(1)選ばれた女(1)

1930年代なかばのスイス・ジュネーヴ。国際連盟事務次長の要職にあるギリシア・ケファリニア島生まれのユダヤ人ソラルと、大貴族ドーブル家の血筋を引く完璧な美女アリアーヌ。抜群の政治センスと類稀なる美貌とでその地位を築いたソラルは、社交界の貴婦人たちを虜にする現代のドン・ファンであり、ブラジルのレセプションで見初めたアリアーヌにも危険な恋を仕掛ける。「一つ賭をしませんか。もし三時間以内にあなたが恋に落ちなかったら、あなたのご主人を部長に任命しましょう」。ホロコーストの暗雲忍び寄るヨーロッパで、死の予感を秘めながら繰り広げられる反時代的な恋愛劇。人間の愛と欲を赤裸々に描いたその物語を縦糸に、アリアーヌの夫アドリアン・ドゥームが国際連盟で過ごす怠惰な一日、アドリアンの養母アントワネットのスノビスム、ドゥーム家の人々がソラルを招待するディナーの準備、国際連盟情報部長が開くカクテル・パーティー、女中マリエットのモノローグ、ソラルの故郷からきた5人の親類の狂騒など、魅力的なエピソードが織り込まれ、二人の恋は運命の深みへとはまっていく…。アカデミー・フランセーズ小説大賞受賞の恋愛大河小説。

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