出版社 : 産業編集センター
さまざまな理由から、生き続けるのが困難な人が行使できる「死の権利=DR」。彼らの死をほう助する医師・神恵一は、次々と訪れる患者を前に、自らの役割に苦悩するー。衝撃の結末が深い感動を誘う、圧倒的デビュー作!第五回暮らしの小説大賞受賞作。
「ペットシッターちいさなあしあと」は岩手県盛岡市にある、ペットの看取りを行なう会社だ。社長の陽太(25歳)はにおいで生き物の死期が分かる。社員には動物の言葉が分かる薫(26歳)、動物に深い愛情と敬意を抱く柚子川(31歳)がいる。ある秋の日。海外から帰国した父親と久しぶりに対面した陽太は、彼から漂うそのにおいに気付いた…。「死」を通じて明らかになる、それぞれの人生。粗末にしてかまわない「生」などひとつもないことが静かに語られる、切なくも温かい命の物語。
冬のカガミノでトコネムリが突然変異をおこした。一気に罹患していく村人たち。仙道は病のかげに銀蜂の王の存在を感じ取る。すべての魔術師を己の配下におき、世界を支配しようとする王。まゆと仙道は命懸けで戦い、カガミノは表面上は平和を取り戻した。この戦いで力を使い果たした仙道は、次第に守り蜂・月花がわからなくなっていく。急激に衰え始める体。失われていく利き蜜師の力。そんな仙道に寄り添ったのは…。人気ファンタジー・シリーズ完結!
生きものの言葉がわかる薫(25歳)の再就職先はペットシッター「ちいさなあしあと」。主な仕事はペットの看取りだ。イヌ、ネコ、ウサギ…彼らの最期に立ち合い、見送り、その想いを飼い主に伝える。逝くものと残されるものとの心ふるえる物語。
仙道とまゆ、ユーリーの乗った飛行船が、音楽祭を数日後にひかえた芸術の都・月の古都に不時着した。そこは利き蜜師の権威が通じない特殊な町だった。一行は飛行船の同乗者である琴の名手・エイラの館に身を寄せることになるが、そこに漂う重く異様な空気が仙道を戸惑わせた。大祭の日、まゆはユーリーの影に潜む銀黒王に気づく。そして訪れた対決の時。まゆが選び取った手段とは…。迫力のスケールで描かれる利き蜜師の物語第三話。
みさと町立図書館分館に勤める遥は、33歳独身の実家暮らし。遥が持参する父お手製の弁当に、岡部主査はいつも手を伸ばし、くすねていく。人事異動でやってきた彼は、図書整理もできないネットサーファー(死語)で砂糖中毒だ。本の貸借トラブル&クレーム対処をはじめ、家庭内の愚痴聞きや遺失物捜索など色々ある“図書館業務”は、ままならないことが多い。でも小さな町の図書館分館では、訪れる人たちの生活が感じられる。理解もできる。だから、ここではちょっと優しくなれるのだ。いなかの図書館を舞台に描かれる、小さな町のハートフル・ストーリー。
チューリップの庭園と、息をのむような図書室を備える古城・ベルジュ城。利き蜜師・仙道と弟子のまゆは、利き蜜師協会からの、ある命を受け城を訪れた。敷地に入った瞬間、仙道はそこに働く特殊な力を感じる。仙道たちを迎えた城主シェーラは若く美麗な女主人だったが、その気配はあまりに弱々しい。やがて仙道とまゆはこの城で、利き蜜師の真実を知ることになり…。迫力のスケールで描かれる利き蜜師の物語第二話。
豊かな花場を持つ村・カガミノ。蜂蜜の専門家であり術師である利き蜜師・仙道の平穏な日々は、村に迷い込んだ一匹の銀蜂に気づいたことで一変する。東の地で悪しき風が吹き始めている…。仙道は幼い弟子・まゆを連れてカガミノを出るが…。迫力のスケールで描かれる、利き蜜師の物語。第三回「暮らしの小説大賞」出版社特別賞受賞作。
小学2年生の眞子の夢は、一緒に住んでいるひいばあちゃんと、手紙交換をすることだった。毎日、手紙を書く眞子。けれど何日経っても返事はこなくて…。子どもの頃のキラキラした日々や優しさや強さ。忘れかけていた大事なことを、思い出させてくれる傑作感動長編。
22歳の美也子は津軽塗職人の父と、デイトレーダーをしているオネエの弟との三人暮らし。母は、貧乏暮らしと父の身勝手さに愛想を尽かして出て行った。美也子はスーパーのレジ係の傍ら、家業の津軽塗を手伝っていたが、元来の内向的な性格と極度の人見知りに加え、クレーマーに苛まれてとうとうスーパーを辞める。しばらくの間、充実した無職ライフを謳歌していたが、やがて津軽塗の世界に本格的に入ることを決めた。50回ほども塗りと研ぎを繰り返す津軽塗。一人でこつこつと行う手仕事は美也子の性に合っていて、その毎日に張りを与え始める。父のもとで下積みをしながら、美也子は少しずつ腕を上げていき、弟の勧めで、オランダで開催される工芸品展に打って出ることに。第1回暮らしの小説大賞受賞作!
3年間で100万ポンド稼いだ者だけに全ての遺産を譲る…。前代未聞の遺言により、熾烈な金儲けレースを始めた息子たち。だが事態は思わぬ方向へと展開してゆく。
莫大な遺産は一体誰の手に?骨肉の愛憎とむきだしの闘争の末、彼らがたどり着いた終着点は?欲望うずまく現代社会で、人間の真の幸せとは何か、を問いかける感動の後編。