出版社 : 角川春樹事務所
コロナ禍においてアメリカ疾病予防管理センター(CDC)で顧問として働き、ニューヨークのコロナ対策に尽力した遺伝子工学の研究者カール・バレンタインは、旧知のニックに仕事を依頼され、極秘にバイオ医薬品企業ナショナルバイオ社のP3ラボを訪れた。感染力のあるウイルスやバクテリアを扱うP3ラボ内で、カールは未知のウイルスを発見する。そのウイルスは死んではいたが、凶暴なエボラウイルスに似たものだった。「もしこのウイルスが活性化したら…」。カールの懸念をニックは一顧だにしない。だがニックだけでなく多くの者が発症し、次第に感染者が増えていく。事態を収束させるために尽力するカール。そしてウイルスを生物兵器に利用しようとする存在がちらつきはじめー。
小さな奇跡の物語がここに終わり、ここから、また始まる。僕は地元のラジオ局で深夜の番組を担当している。ある日、17歳の時に絵のモデルをしたことを話したところ、リスナーから、僕によく似た肖像画を見た、と葉書が届くー。土曜日のハンバーガー、流星新聞、キッチンあおい、行方不明の少年、多々さん、鯨オーケストラーすべてが響きあって、つながってゆく。
強固な組織力と圧倒的暴力を持ち、池袋に本拠を置く中国系反社組織「玄武(シェンウー)」。この組織を率いてきた孟会長の死期が迫っていた。表面化し始める跡目争い。この機を虎視眈々と狙う対立ヤクザ久和組、そして反社撲滅を目指す警視庁。危ういバランスを保っていた街は、玄武が飼う暗殺者・送死人が一人の女優を殺したことにより、破滅に向かって派手に弾け始めるー。
有名広告代理店を早期退職したキョウコは、古いアパート「れんげ荘」で貯金を切り崩しながら自由な暮らし。近所の花店で元気なチューリップを買ってきたり、お腹周りが心配になってきたので、遠回りして買い物に出かけたり、「れんげ荘」の元住人・コナツさんの結婚のお披露目会に、久々におめかしして出かけたり。ネコやイヌ、鳥や花や隣人とのお茶の時間などに心を癒されながら、キョウコは今日も小さな幸せを見つけています。ロングセラー「れんげ荘物語」シリーズ、第7弾!
あたし、高井南海は超能力者!今までは階段やらアチコチで転ぶため「粗忽姫」と呼ばれていたけど、実は転ぶことでこの世界の各所にある“空間のヒビ”を修復していたのだ!そのヒビを靄として感知できる御曹司の超能力者・板橋さんと組んで、この世界(とりあえず練馬区から)に存在する歪みを修復し、物体を治す力を利用して、世界を救うために働き出したのだ!
轢き逃げの通報を受け、臨場した北海道警察本部大通署機動捜査隊の津久井卓は、事故ではなく事件の可能性があることを知る。それは被害者が拉致・暴行された後にはねられた可能性が高いということだった。その頃、生活安全課少年係の小島百合は、駅前交番で保護された、旭川の先の町から札幌駅まで父親に会いたいと出てきた九歳の女の子を引き取りに向かう。一方、脳梗塞で倒れた父を引き取るために百合と別れた佐伯宏一は、仕事と介護の両立に戸惑っていた。そんな佐伯に事務所荒らしの事案が舞い込む…。それぞれの事件がひとつに収束していく時、隠されてきた北海道の闇が暴かれていくー。
青海三丁目付近の海上で遺体が発見される。身元は、かつて特殊詐欺の出し子として逮捕された戸沢守雄という七十代の男だった。特殊詐欺事件との関連を追う中、遺体が見つかる前日に戸沢と一緒にいた釣り仲間の猪狩修造と和久田紀道に話を聞きに行くと、二人とも何かに怯えた様子だった。安積たちが再び猪狩と和久田の自宅を訪れると既に誰もおらず、消息が途絶えてしまうー。
寛政六年(一七九四)の春。日本橋通油町にある地本問屋の「耕書堂」は錦絵を求める客で賑わっていた。女中として働くお駒はそんな店の様子を誇らしく思いながら、買い物に出ようとしたとき、店の中に入って行く一人の男を見かける。その男は、写真と名付けられた新しい絵師だった。五月興行が始まると同時に、「耕書堂」の店頭に写楽の役者絵が並ぶと、江戸の町に衝撃が走った。それは、今まで誰も見たことのない役者絵だった。賛否入り混じる評判の中、店主の蔦屋重三郎に呼ばれたお駒は、次の興行で出す写楽の絵を手伝ってほしいと言われー。
豊臣秀吉に仕えた武将の家系に遺されていた一枚の絵。そこに描かれている肖像画とうり二つの女性が語り始めた。この絵を描いたのは、後世に明智光秀と呼ばれた人物だと。そして…かつて美濃の国と尾張の国の境目、木曽川の支流である二似見川のほとりにあった“いよの国”。その豊かで閉ざされた地には、争いがなく穏やかで豊かな“素晴らしき国”を造るための礎となる人材が育てられていた。そこで育った、智慧と力と様々な能力に長けた者たちは、“素晴らしき国”を実現できそうな、国を治める強い力を持った者の元に送り込まれ、その手助けをする。たとえば、織田信長に嫁いだ女や明智光秀のようにー。
犯罪都市NYの検視局でキャリアを積んだ法医学者が、神奈川県警と警察医契約を結び、横浜に戻ってきた。すべては死者のためにー。死者と語り、どこまでも真実に執着する警察医である法医学者。多様化する性を取り巻く犯罪に立ち向かうジェンダー班の刑事たち。死に隠れた謎を解き明かす、新たなドラマの幕が上がる!
2020年本屋大賞にノミネートされ、本を愛する人々を興奮と感動に巻き込み累計30万部突破。今なお売れ続けている『店長がバカすぎて』、熱望の第2幕。今を懸命に生きる私たちの特別な物語。とにかく文句なしに面白い!!店長、ますますパワーアップ。
安倍益材の息子、葛丸(後の晴明)は、幼き頃から人の死を先見してしまう力を持つと噂されていた。災いが降りかからぬように、屋敷から出ずに育てられてきた葛丸。彼が七歳になった時、友人となったのが、陰陽師への修業を目前に控える少年・津久毛と、先帝の孫である鶴君だった。ともに人に馴染めぬがゆえに親しくなる三人。しかし葛丸の先見のせいで、宮中での毒殺の疑いが益材にかかる。その事件をきっかけに、葛丸は平安の都に潜む数々の謎へと挑み始めるー。
京都駅に降り立った女性の名は坂本龍子。彼女は高知県の県庁職員でありながら、政治の世界で数々の難問を解決し「交渉人」と呼ばれ、その名を馳せていた。ある日、龍子の元に京都府知事の桂大吾から、低迷した日本経済を救うため、経済の拠点や首都を東京から関西へ移したいという依頼が入った。この法外とも思える構想を実施すべく、京都・大阪・兵庫の三府県が手を組み、西の統一をはかるため、龍子に力を貸してほしいのだという。しかしその裏には京都が国の政治を司る拠点として返り咲き、そして遷都までをも実現するという思惑があったー。
嘉永六年(1853)江戸。好奇心たっぷりの銀次と絵師の歌川芳徳は、妖怪伝説やゴシップネタなどを追う、低俗なかわら版を売りさばいて人気を博していたが、浦賀に来た黒船を見に行き、勢いで乗り込んだことがきっかけで人生が変わる。江戸一番の物知りと評判が高い佐久間象山に師事し、勝麟太郎や坂本龍馬、吉田松陰、西郷吉之助など、様々な幕末の英雄と出会い、大地震や大火災、死の疫病をかわら版で報じるうちに、銀次は報道の使命に目覚め、弱き大衆のために立ち上がる。幕末の動乱の中で、真実(たまに嘘)を追い求めるかわら版屋を描いた、痛快時代小説!!
従業員5300人を擁する一部上場企業ジャパンテックパワー。日本の将来を背負って、再生可能エネルギーの発電施設を開発・運営する期待の企業が大きく揺れていた。株主総会を間近に控えたある日、社長が失踪。それに端を発した後継者争いが激化していく。混乱を極める会社に追い討ちをかけるように、中国系ファンドの介入も噂されはじめ…。社内派閥、恫喝、誘惑、陰謀、権謀術数、手練手管。保身と欲にかられた者たちが暗躍する権力闘争。
美希喜は、国文科の学生。本が好きだという想いだけは強いものの、進路に悩んでいた。そんな時、神保町で小さな古書店を営んでいた大叔父の滋郎さんが、独身のまま急逝した。大叔父の妹・珊瑚さんが上京して、そのお店を継ぐことに。滋郎さんの元に通っていた美希喜は、いつのまにか珊瑚さんのお手伝いをするようになり…。カレーや中華やお鮨など、神保町の美味しい食と心温まる人情と本の魅力が一杯つまった幸せな物語。
2020年初頭から世界を席巻した新型コロナウイルスは、あっという間に私たちの生活を一変させた。職場も、家庭も、友人や恋人などの人間関係も、そして未来すらも。劇的に変化した世界で生きる私たちの日常は、どこに向かっていくのか?ラジオの現場でコロナを報道し、リスナーの声を聞き続けた著者が、抱えてきた想いを25本の物語に昇華させた!誠実でありながらシュールで刺激的。そして笑え、最後には沁みていく…。舞台、ドラマの脚本・演出で今、最も注目される鬼才、初めての小説!