出版社 : 風詠社
大学院生で文学志望の私は、夏休みには小説の執筆等で白馬村の宿に滞在していた。宿で美しい人妻と出会って、年に一度この宿で再会する約束を交わす。恋情の募った3年目の夏、私が訪れる直前にあの人は何故か宿から消えて…。「学生村」が盛んだった昭和40年代、清流の流れる風光明媚な村を舞台に、互いに己を律しながら展開する香り高い愛の物語。
「硬派」、と呼ばれている若造りの専業主婦「彼女(寿)」、その夫で、なめくじ呼ばわりされている中年の貧相な病理医「彼」、ふたりの間の息子で、小学校を「平等の牢獄」と呼び、あえて塾でのハードな勉強に逃避して、そこに友情を見出す多感でシニカルな「少年」。この、すこしねじれた一家とそれを取り囲む人々を色々な角度から見つめたお話。(音楽+虐殺)。「ジャズの研究」「美しい娘たち」「告白的暗殺論」「音楽+虐殺」=4編収録。
垂仁天皇の秘密、神功皇后はLGBT?倭の五王はナゼ中国に行ったか?「論語」の伝来はいつ?仁徳天皇は大国主命の子孫?古事記・日本書紀と口承の視点が新しい小説。
信用金庫の宏、キャバ嬢の麻美、庭師の幸三、ジャガイモ農家の光男、課長の正明。「おばんざい屋くるくる」を訪れる人々には思いもかけないドラマが待ち受けていた。季節の味も合わせて楽しむことができる極上のグルメ&オムニバス小説。
三代将軍家光から、鍔削ぎ清光の鞘に秘められた密命を預けられた霞流開祖の父・脇坂外記は陰柳生の暗殺団に殺害された。「鯉口を切れば冥府への入口」「相手の刃の下にこそ霞流ならではの道がある」苛酷な流派、人斬り剣法に六郎太は身を投じるー。
夢の世界「表象の森」に佇む妖しげな宿。たまたま1泊だけのつもりの旅籠になぜか連泊することになり、やがて私は…今と昔が交錯する空間で様々な幻影や鬼面たちが記憶の「思い」に語りかける幻象妖惑小説。
ピアニストを目指す、高校生の村上琴は、原因不明の症状で左手が利かなくなり夢をあきらめかける。そんな折、旅先で出会った二人の人物が彼女の人生を変えることになる。三人は自らに吹き付ける向かい風に立ち向かうべく、ある演劇作品の上演を目指し、劇団を立ち上げる。集まった仲間たちも各々に問題を抱えていた。幾たびかの試練を乗り越え、周囲の人々の協力も得て、ついに彼らの芝居の幕が上がった…。残酷な運命に敢然と立ち向かい、自らの人生を取り戻そうとする人々の勇気と友情、そして再生の物語。
明治43年1月、七里ヶ浜沖で12名の若者が亡くなった…。逗子開成中學ボート遭難事故の真実。あの時、何があったのか。あの後、何があったのか。フィクションだからこそ、闡明に著わせた真実とは。