1990年4月10日発売
裏切り街道裏切り街道
首から下げた天宝通宝を守り銭とした二本桐の武吉は、右肩に負った刀傷を癒すため、信玄の隠し湯として知られる下部温泉に逗留していた。そこへ勘助と名乗る男が現われ、武吉の恩人・野州越堀の仁五郎親分が危ないと告げた。しかも一人娘お絹は心細さのあまり〓@4AC3れ果てているという。傷が癒えぬまま、武吉は一路、奥州街道越堀宿をめざしたが、そこには思いもよらない裏切りが待っていた…。(「雪に花散る奥州路」より)陰謀渦巻く街道に、女のために命を賭ける男たちを描く傑作時代小説。
悪い虫悪い虫
樋口には強姦の前科があった。実刑判決を受けて1年前に出所したばかりだった。それ以外にも何人の女を暴力でものにしたか知れないが、訴えられたことはまるでなかった。すべて女の泣き寝入りだった。出所後はさすがになりを潜めていたものの、一度覚えた味は忘れられなかった…。夏の軽井沢の山荘を舞台に、頭をもたげた“悪い虫”がもとで恐るべき殺人事件に遭遇した男を描く表題作など、二転、三転する巧みな構成で読者を魅了する著者会心の傑作推理集。
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