1997年8月31日発売
けちな浮気調査で糊口をしのいでいる私立探偵ジャック・フリッポのもとに保険金詐欺の調査の仕事が舞い込んだ。テキサスの田舎町で不審な溺死を遂げた男に、五十万ドルもの生命保険がかけられていたというのだ。受取人は、いかがわしい酒場の経営者エクルズだった。左前になった店を立て直すために、喉から手が出るほど保険金が欲しい様子。プンプン臭う事件を追うジャックに、曲者や俗物たちがからんで、てんやわんやの騒ぎに…。
引退し、今や伝説となった老練の情報部員スマイリーと、新人研修所チーフ、ネッドが明かす、英国情報部の知られざる闘いの年代記ー謀報活動の最前線ベルリンから、忽然と姿を消した気鋭のスパイ。クメール・ルージュに連れ去られた最愛の娘を求めさすらう情報部の協力者。それは、陰謀と紛争に身を捧げてきた者たちの悲哀と感動に満ちた人生の物語でもあった。巨匠がオールスターキャストで贈る、スマイリー最後の挨拶。
ハリー・コーベットは、マンハッタン医療センターに勤める医師。翌日、脳動脈瘤の手術を受ける予定の妻エヴィの見舞いにいき、妻から頼まれた買物をしに外出して戻ってくると、妻が危篤状態におちいっていた。手当のかいもなく妻は死亡する。そのとき同僚の心臓専門医シドニスが、病室から最後に出てきたハリーがエヴィを殺したのだと騒ぎだす。調べてみるとエヴィの点滴に、脳動脈瘤に致命的な昇圧剤がもられていた…。
ハリーの妻エヴィと医師シドニスはずっと浮気をしていたのだ。別れ話をもちだされたハリーが妻と別れたくなくて、妻を殺したのだとシドニスは主張する。妻が浮気をしていた事実さえ知らなかったにもかかわらず、ハリーは第一容疑者にされてしまった。真犯人を探しだそうと独自の調査を開始したハリーはやがて、病院内で暗躍している恐るべき組織の陰謀の渦中に…巨匠ロビン・クックにつづく、ベストセラー作家の話題作。
もう、刑事には戻れない。酒に溺れ、仕事も家庭も失った元警部補ロレインは、酒を断つことを決意し、探偵事務所を開いた。だが経営は苦しく、生活もままならぬところへ大物の依頼が舞い込んだ。一年ほど前、ニューオーリンズで行方をくらませてしまった、往年の名女優の娘で大学生のアンナ・ルイーズを探しだしてくれというのだ。ロレインはアンナ・ルイーズの身辺を探るうち、やがて娘の家族の驚くべき秘密を知るが…。
必死に調査を続けるロレインは、やがてアンナ・ルイーズの母親が麻薬中毒であるとの情報を得る。また、父親は新事業の計画を進めており、資金繰りに困っていたらしい。娘は誘拐されたのか、それとも家族の秘密に関わる何者かに殺されたのか?新たな手がかりを求め、ロレインはニューオーリンズへ飛ぶ…酒への欲求に苦しみ、自分自身と闘いながら事件を追う女探偵。
教師の特権の夏休みを返上して参加したサマースクールは、うんざりすることばかり。猛暑の授業に生徒はやる気なし。ただ一人、向学心に燃える移民の生徒エイプリルだけが救いだ。だがある日、その彼女が失踪してしまった。さらに、同僚の黒人女性教師が夜ごとの脅迫電話に悩んでいると打ち明けてきた。二人の身を案じ、真相を探りはじめたわたしに、謎の脅迫状が。
人類が拡大を目指し大宇宙に翔び立っていった「地球離脱」から数千年。地球に残った人々は科学を捨て、半ば無気力に暮らしていた。だが、太陽と地球のあいだに「暗黒星雲」が忍びよってきたことで、事態は一変する。星雲が太陽を遮り、すでに大気の薄くなった地球から、今度は光までもが失われようとしているのだ。このままでは大氷河期が訪れ、人類は滅亡してしまう。そんなある日、「滑る石の平原」で異変が起こった。何千年ものあいだ平原を滑りつづけてきた32個の石が静止し、完全な円形に並んだのだ。これは人類破滅の予兆なのか?奔放なイマジネーションで終焉を迎えつつある超未来の人類の姿を描き、ウィリアム・ギブスン、ノーマン・スピンラッドなど英米のSFウルサ方を唸らせた英国SF作家協会賞受賞作。
白昼のロンドンを襲ったIRAの爆弾テロが、歴史さえ揺るがしかねない陰謀を浮かび上がらせた。爆破現場から偶然に発見された書類から、某国による要人暗殺計画が進行中であることが判明したのだ。書類によれば、暗殺の実行にあたるのは旧東ドイツの「シュタージ」。恐るべき計画力と実行力を持ちながら、いまや壊滅したと信じられていた秘密情報組織だ。しかも暗殺の実行者は人間ではなく、標的をコンピューター制御で認識する自動狙撃装置だという。となれば、詳細な情報がなければ、対策さえ立てられない。だが、この暗殺を計画しているのがどの国なのか、いったい誰が標的なのか、それさえもわからないのだ。唯一の手がかりは、シュタージの本拠地が北朝鮮にあるという情報のみ。かくして英国情報部MI5は、暗殺計画を阻止すべく、元特殊部隊兵からなる傭兵チームを北朝鮮に送り込むが。
京都を襲った未曾有の大災厄から10カ月。大火災に始まり、人を襲う妖怪たちに蹂躙され、逃げまどった恐怖もようやく薄れ、人々も街も再建に忙しい。地質調査会社の技師・木梨香流は、あの事件の渦中に離れ放れになった恋人・真行寺君之を偲んで悲しみに浸ってはいられなかった。君之は紅姫によって時のはざまに連れ去られたらしい。…サイパンのジャングル内の洞窟で、妙なものが見つかった。象牙色の皮をなめしたようなものの上に見たこともない文様が並んでいる。それが『アルルの謎文字』であることが分った時…。