1998年7月31日発売
娘を残してヨーロッパ駐在から戻った啓太を待ち受けていた日本の変貌ぶり。同期生たちに誘われ山を歩くうちに訪れた至福と覚醒。五十半ばを過ぎた男の精神の変容を正面から見据えた純文学待望の収穫。
タイラーは別れた妻から、誘拐された息子ブライアンを取り戻してほしいと頼まれた。だが、息子は生まれて一年とたたないうちに死んだはず。かつて二人がいた狂信的な殺人者集団「ワイル・グループ」が使っていたドラッグのせいで、妻は錯乱状態なのか、それとも…?調査を始めたタイラーは、やがて精神共有作用をもつドラッグにより悪夢と現実の狭間へと踏みこんでいく…。
やっかいなことになった。よりによってダイディータウンのクローン娼婦から、失踪した恋人さがしを依頼されるとは!どんな快楽にも応じる美男美女のクローンが集う街ーそれがダイディータウンだ。いくら美女でも真民がクローンと恋におちるわけがない。とはいえ、女がさしだしたのは本物の金貨だ。で、おれは引き受けた、地球を揺るがすほどの大事件に巻きこまれるとも知らずに…鬼才が放つ傑作SFハードボイルド。
次々と急患が運びこまれるペイシェンス地域病院の救急治療科。そこに勤める女医アビーにとって、毎日が目のまわるほどの忙しさと緊張の連続だった。アビーがこのカリフォルニアの田舎町にきたのは、恋人のジョシュが巨大企業コルスターの工場に再就職したためだ。しかしコルスターに勤務するようになってから、ジョシュは原因不明の頭痛や倦怠感を訴え、ふさぎこむようになった…『沈黙の病棟』につづく医学サスペンス。
ジョシュの病状が悪化していく一方で、救急治療科にも似た症状を訴える患者が運ばれてくるようになった。コルスターの工場が有害物質を廃棄しているのではないかと疑ったアビーは、同僚の医師と調査を開始。しかしコルスターに生活のすべてを依存する町の住民は、さまざまな手段で悪辣な妨害をしかけてきた!ロビン・クックに比肩するベストセラー作家が緊迫感あふれる医療描写と戦慄の結末で読者をうならせる話題作。
香港のある銀行で起きた奇怪な事件に黄線街分署のファイファー主任警部らは頭を抱えた。なんと九人の行員全員が死体で発見されたのだ。死因は毒入りシャンパンを飲んだためと判明。盗まれた物はない。乾杯しながら集団自殺したとでもいうのか?他殺だとしても強盗でないなら、一体誰が何のために?二転三転の展開、爆笑エピソード満載の奇天烈ミステリ。
鋭い嗅覚をもつ、34頭のブラッドハウンドーそれがジョー・ベスの家族だ。彼女は犬たちを追跡犬として訓練し、警察と契約して行方不明者の捜索や麻薬捜査に携わっている。次々と舞いこむ仕事の依頼に追われるなか、亡き父親の遺言の件で弁護士のウェイドがジョー・ベスを訪ねてきた。彼女の父の死後、遺言がずっと執行されないことに疑問を抱いたという。彼女はウェイドと共に不可解な遺言状に絡む謎を密かに探り始めるが…。
もう40年以上まえの話になる。わたしがまだ12歳だった1948年の夏、モンタナ州の小さな町で、一人のインディアン女性が死んだ。彼女の名前はマリー。わたしは、彼女を愛していた…。12歳のデイヴィッドは、どちらかといえば内向的な少年だった。一年じゅう風のやまないモンタナの草原や川を、一人で歩きまわるのが好きだった。ある日のこと、デイヴィッドの家で家政婦として働くマリーが、高熱を出して寝込んでしまう。それが「事件」の発端だった。町の保安官をしているデイヴィッドの父は、自分の兄で医者のフランクを呼ぼうとするが、マリーはそれをかたくなに拒む。フランクは診療にかこつけて、インディアン女性に性的ないたずらを繰り返しているというのだ。動揺したデイヴィッドの父は、保安官として兄の行状を調べはじめるが、そんな矢先、マリーが突然の死を遂げてしまう…。少年の心に深い傷を残した事件を、静謐で透明感あふれる文体と瑞々しい感性で描き出し、読む者の胸に深い感動を刻む、珠玉のアメリカ文学。