2007年9月4日発売
出羽は天童将棋村ー。無刀の剣士・鑢七花と奇策士・とがめは、王刀『鋸』を振るい、心王一鞘流をたった一人で守る汽口慚愧の道場を訪ねる。とがめがめぐらした奇策に、全身全霊で攻め入る汽口!一方で、否定姫配下の元忍者・左右田右衛門左衛門による真庭忍軍への残忍な粛清は静かに続くー!刀語、第九話の対戦相手は、心王一鞘流当主、汽口慚愧。
宝永4(1707)年突然大爆発を起こした富士山は16日間にわたり砂を降らし続け、山麓農民に甚大な被害をもたらした。時の関東郡代伊奈半左衛門忠順はこうした農民の窮状を救うべく強く幕府に援助を要請した。だが、彼が見たものは被災農民を道具にした醜い政権争いだったー。大自然の恐怖を背景に描く長篇時代小説。
富士山噴火によって被害を受けた農民を救うべく奮闘する関東郡代伊奈忠順。だが幕府内の政争の前に、彼の努力もむなしく、農民達は次々に飢えていく。ついに忠順は決心する。たとえこの身がどうなろうと幕府米五千俵を秘かに農民に与えようとー。農民救済に命をかけた代官の生涯を壮大なスケールで描く。
今日も池袋には事件が香る。風俗スカウト事務所の罠にはまったサンシャイン60階通りのウエイトレス。伝説のスターが設立を夢見るロックミュージアムの真実。集団自殺をプロデュースするインターネットの“クモ男”-。ストリートの「今」を鮮やかに描くIWGPシリーズ、切れ味がさらに増した第5弾。
愛しい妻は癌に冒されていた。その現実から逃れるように夜の街へ出た「私」が、病室に戻って妻と眺めた月は…。何気ない会話の中に潜む情愛。平成3年、第12回吉川英治文学新人賞を受賞し、作家としての評価を確立した、珠玉の短篇集。表題作ほか、「くらげ」「残塁」「桃の宵橋」「クレープ」の全5篇を収録。
玉枝は、深川の料亭「江戸屋」の女将である三代目秀弥の一人娘。周囲の人々の温かく、時に厳しい目に見守られながら、老舗の女将としての器量を学びつつ一人前に成長していく。山本作品にたびたび登場する四代目秀弥の少女時代にさかのぼり、母から娘へと受け継がれる江戸の女の心意気を描く、波乱万丈の物語。
古くから一向宗を信じ“上なし”の自治を貫いてきた伊勢の長島。多くの川が入り組み、独特の地形に住む門徒たちは、商船を仕立て各地を巡っていた。尾張、美濃を領地にした織田信長は次に伊勢に目を向けた。世に名高い信長と長島一揆の闘いである。近代化された信長軍団に身一つで立ち向った一向門徒たちの運命は如何に。
29歳、無職の“俺”。マリファナに耽溺しながら、寝たきりの祖母を自宅で介護する日々。“悟っては迷う魂の俺から朋輩へ”放たれる熱狂と呪詛。新しい饒舌文体でセンセーションを巻き起こした、モブ・ノリオのデビュー作にして芥川賞受賞作。単行本未収録の短篇「市町村合併協議会」「既知との遭遇」も収録。