2009年10月31日発売
沈黙の森沈黙の森
暴力団・東明会の金を持ち逃げした男が、軽井沢に潜伏している。金額は五億。東明会はもとより、大金の臭いを嗅ぎつけた危険な連中が、この閑静な別荘地に現れ、血眼になって男の行方を捜しはじめた。かつて新宿で「五人殺しの健」と呼ばれ名を馳せたが、今は軽井沢で別荘管理人として静かに暮らす田口健二のもとにも協力を要請する輩が訪れ、事態は急変する。雪山に乱反射する、欲望、復讐、狂気-すべてが暴力に収斂していく。圧倒的な筆致で現実世界に迫る、馳星周の最新長篇。
笑いの果てまでつれてって笑いの果てまでつれてって
お笑い芸人のミナミは、ここ数年ですっかり人気も落ち、今はホテトルの運転手をして暮らしていた。年末のある日、以前、ホテトルで窃盗の嫌疑をかけられ、ミナミに助けられた京子が、お金を返しに来た。ちょうどその頃、お笑い学校の同級生だった友人から仕事の依頼が来ていた。稚内の老人ホームの年越しイベントで漫才をやらないかというのだ。断るつもりだったミナミだが、京子が正月に帰るところがないと聞き、最後の舞台をみせようと、京子を北海道へ誘う。自殺未遂をしたばかりの元相方・サカイ、そしてミナミの父・ハツオも同乗し、4人を乗せた車は27日朝、大阪を出発する。それぞれの思いを乗せ、北海道・稚内をめざして、爆走する車。名古屋〜東京〜仙台と、行く手に待ち受けるさまざまな事件を乗り越え、果たして、大晦日、忘れられた漫才師は、最後の舞台に立つことが出来るのか。
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