2014年2月14日発売
洋々たるミシシッピーの流れに乗って筏の旅を続ける陽気な浮浪児ハックと逃亡奴隷ジム。辺境時代のアメリカの雄大な自然と活力溢れる社会をバックに、何ものにもとらわれずに生きようとする少年と、必死に自由の境涯を求める黒人の姿をユーモラスに描く。
「本当の人間は妙に纏めにくいものだ。」十九歳の家出青年が巡る、「地獄」の鉱山と自らの心の深みー「虞美人草」と「三四郎」の間に著された、漱石文学の真の問題作。最新の校訂に基づく本文に、新聞連載時の挿絵を収録。
社交的だったり、シャイになったり。その落差に惹かれて里美とつきあい始めた祐児。しかし初めてのパリ旅行で、お世話になったご婦人を無視する里美に憤った祐児は、彼女から人の顔を覚えられない「相貌失認」だと打ち明けられる。人知れぬ生きにくさを背負う彼女が招く数々の苦難を二人は乗り越えられるか。
イギリス西部の田舎町・パグフォードで地方自治組織議会の議員、バリーが突然亡くなった。議席に「カジュアル・ベイカンシー=突然の空席」が生じ、選挙が始まる。隣町との町境に、「フィールズ」という低所得者向け公営住宅が建つが、選挙如何では、フィールズへの支援は途絶えるのだ。そして様々な本音が明らかに…。
突然の空席が生じた議席に立候補したのは3人。選挙活動が続く中で、さまざまな「戦い」が明らかになる。「子ども同士」「富裕層と貧民層」「嫁姑」「親子」「恋人同士」-。町の人々の欲望が明らかになり、ぶつかり、濁流となって衝撃と感動のラストへ!稀代のストーリーテラーがどうしても描きたかった物語がここにある。
栃木県の那須で開催されるゴルフのビッグトーナメント直前に、「この大会中に、あいつを殺してやる」という脅迫状が舞い込む。競技委員の吉田は十津川に警備を依頼するが、その夜、ひき逃げ事故で死亡。そして、大会最終日、小銃狙撃による殺人事件が起きる。姿を見せない殺人者の狙いは?十津川の推理は!?巻末企画・特別連載「寝台特急トワイライトエクスプレスを爆破せよ」。スペシャル・インタビュー。都道府県別データ。わが故郷の駅弁自慢。
のどかだった町は、すっかり変わってしまったー。移り住んできたよそ者たちの度重なるトラブルに頭を抱えていた桃ノ木坂互助会会長の光太郎。元海自曹長でもある彼は、悪い芽は早く摘まねばと、町に害を及ぼす人物を仲間たちとともに次々と町から追放することに。次なるターゲットは、大家とトラブルを起こしていた男、武藤。しかし、男を狙っていたのは光太郎たちだけではなかった。とある事件を機に、互いの思惑は狂い始め…。江戸川乱歩賞作家の新機軸ミステリー。
両親と兄弟を流行り風邪で亡くし、叔母に育てられている十歳の少女・おさき。箱根山を登る旅人の荷物持ちで生計を立てている彼女は、ここ数日、幾度も見かける若侍が気になっていた。旅人はおおむね、道を急ぐもの。おさきの視線に気づいた若侍は来島主税と名乗る。人探しのため西に赴く途中だというが…(表題作)。東海道を行き交う人びとの悲喜こもごもを清冽な筆致で描く連作集。