2015年1月発売
半分は白の魔使いだが、半分は黒の魔使いの血を持つネイサンは、他の白の魔使いたちとは違っていた。夜の闇が彼を悩ませる。白の魔使いの少女アナリーゼに恋をするが、ネイサンは檻に閉じ込められ、誰かを愛する自由さえ得られなかった。そして、運命の17歳の誕生日が近づいてきた…。衝撃の純愛ファンタジー。
長い旅路を経て、大切な想いを確かめ合ったフィリエルとルーンだったが、3人目の女王候補と認められたはずのフィリエルに大きな危険が近づいていた。互いに相手を守りたいと強く願い、2人は再会を誓ってそれぞれ命を賭けた旅に出るー世界の賢者・フィーリを倒すために。世界の果てを目指すルーンと、吟遊詩人の再生を試みるフィリエル。フィーリの見えざる手が迫る中、再会を果たした2人が賢者の塔で目にしたものとは!?
NYの“ホテル・チャンセラー”22階で、火掻き棒で頭蓋骨を粉砕された男の死体が見つかった。部屋の持ち主は、出版社を経営し、切手収集家としても名が知られているドナルド・カーク。外出先から、友人のクイーンを伴い、晩餐会に出席するため、事務室に寄った時の出来事だった。殺された男の正体は誰もわからない。ただ、死人の衣服が前後逆に着せられており、部屋の中も何もかも逆向きだった…。大人気“国名シリーズ”第8弾!
暁星新聞の記者である青山翔子は、社内の資料室で一枚の写真を見つけた。それは、1939年に世界初の世界一周を成し遂げた「ニッポン号」の写真だった。翔子は当時、暁星新聞社が社運をかけて取り組んでいたプロジェクトにカメラマンとして参加していた男を追って、カンザス州アチソンへと飛ぶ。老人ホームで暮らす山田は、翔子から渡された古い写真を見て、重い口を開いた。そこには、ある米国人女性パイロットの姿がー。
カンザス州の田舎町に生まれ育ったエイミー・イーグルウィングは、女性として初めて大西洋横断飛行に成功するなど、数々の記録を打ち立てていた。大空を自由に駆けることに魅了されたエイミーは、空から見た地平には国境が存在しないことに気づく。世界平和のために、自分は飛ぶのだ、と。その強い信念はやがて彼女を、世界一周に挑む「ニッポン号」との邂逅へとみちびく。数奇な真実に彩られた、感動のヒューマンストーリー。
人を好きにならずにすむ方法があるなら教えてほしい。なぜなら彼女は、親友の恋人だから。笹川勇太は恋する相手をめぐって、学内一の美少女・あおいに弱みを握られてしまった。そんな彼女も、恋となると思うようにはいかない。好きな人と会うため、勇太に恋人のふりをしデートしてほしいと頼んできた。振りまわされながらも、次第にあおいに心惹かれてゆく勇太。そして複雑な関係の二人に事件が。恋と友情を描く青春小説!
世の中にはまだ科学では説明できない現象が存在するー旧友との再会で呼び覚まされる、過去の悪夢(「鍵穴」)。ホテルの窓辺にあられもない姿でくくられた美女(「クライ・アイズ」)。マンションの表札に残される不気味な落書き(「しるし」)。ゴルフ場に横たわる、何かに背中を刺し貫かれた死体(「杭打ち」)。川べりのアパートで起こる数数の怪奇現象(「櫓」)など、日常と非日常の狭間に潜む恐怖を描く、著者真骨頂の傑作ホラー短編集。
東京タワーがスカイツリーに代わるとき。世界はもう、自分の知っていた世界ではなくなりはじめているのかもしれない。封印した過去の記憶などほんとうに存在したものかさえあやうい。街を見はるかす、スカイツリーと東京タワーの往復書簡をはじめ、ダイエットに苦しむ客に共感コメントを送り続ける女性社員、薔薇屋敷と呼ばれたゴミ屋敷に住む老姉妹、初恋を実らせた結婚譚など、東京に起きる小さな奇跡をすくいとった短篇集。
早く大人になりたい。一人ぼっちでも平気な大人になって、自由を手に入れる。そして新しい家族をつくる、勝手な大人に翻弄されたりせずに。気性の激しい若い母のもとで育った手毬。犬のジョンと、隣に住むジョンに似たアメリカ人の男の子が、無二の親友だった。父親不在の家庭にやってきた新しい義父を通じ、人のぬくもりを知る手毬だったが。思うままに生き、変転を続ける女性の60年にわたる人生と家族、愛を描く。
中央自動車道を岐阜から新宿に向かっていた高速バスが防護柵に激突。1名が死亡、重軽傷者8名の大惨事となった。運転していた小平がハンドル操作を誤ったとして逮捕されるも、警視庁捜査一課の犬養は事故に不審を抱く。死亡した多々良は、毎週末に新宿便を利用する際、いつも同じ席に座っていた。やがて小平と多々良の過去の関係が明らかになり…。(「赤い水」)人間の悪意をえぐり出した、どんでん返し満載のミステリ集!
兵庫県芦屋市。この街に、定食屋「ばんめし屋」はある。夜のみ営業、メニューは日替わり一種のみ、幽霊すらも常連客…。この不思議な店で、元イケメン俳優の五十嵐海里は、ただいま料理修業中。芸能人としての挫折を乗り越え、常連客で小説家の淡海とも仲良くなり、順風満帆、と思いきや、後輩の若手俳優・里中李英が店を訪れたことで、再び嵐に巻き込まれ…。人の優しさと美味しいごはんに癒される、泣けるお料理青春小説。
中学2年生の柊也は、クラスメイトの翼に誘われて渋々行った中華街で無銭飲食の罪を着せられてしまう。困った柊也がとった行動は…(「気分上々」)。“自分革命”を起こすべく親友との縁を切った女子高生、8年前の“あの日”を忘れられない女性、一族に伝わる理不尽な“掟”に苦悩する有名女優…。毎日をもがきながらも一生懸命に生きる人たち。これまでに発表された短編から選りすぐった、元気と勇気をくれる9つの人生物語。
有名デザイナー・ブランドのショップ販売員として働く真昼。商社に勤め、社内恋愛の末結婚するものと思っていた彼にふられやむなく転職した真昼に、先輩バイヤーの病気で海外出張のチャンスが巡ってきた。行き先はミラノ。何もかもが輝くこの街で、真昼はファッションの仕事の魅力に目覚める。だが、帰国後の彼女を待ちうけていたのは、とんでもないトラブルでー!?業界の裏側に鋭く切り込む、新時代のサクセス・ストーリー。
今すぐ、誰とでもいいから、結婚したいー身体を内側から焼くような強烈な願望。でも、相手がもっている数字や条件をいくら積みあげても、人を好きになることはできないー予期せぬときにふと落ちる恋の感覚、加速度をつけて誰かに惹かれていく目が覚めるようなよろこび。運命は、わからないからこそ、素晴らしい。臆病の殻を一枚脱ぎ捨て、あなたもきっと、恋に踏みだしたくなるー当代一の名手が紡ぐ、極上恋愛短篇集!
安楽死事件を起こして離島にとばされてきた女医の美和と、オリンピック予選の大舞台から転落した元競泳選手の昴。月明かりの晩、よるべなさだけを持ち寄って躰を重ねる男と女は、まるで夜の海に漂うくらげー。同じ頃、美和の同級生の鈴音は余命宣告を受けていて…どうしようもない淋しさにひりつく心。人肌のぬくもりにいっときの慰めを求め、切実に生きようともがく人々に温かなまなざしを投げかける、再生の物語。
恋人の七海と別れ、山崎隆二は途方に暮れていた。成人雑誌の編集部も辞め、校正者として無為に過ごす毎日。そんななか、七海の友人で行方不明になっていた風俗嬢の可奈を見たという噂を聞き、山崎は鴬谷へ向かう。彼女には会えなかったが、やがて「助けに来て」とすがりつく電話がかかってきた。山崎は囚われの身となっている可奈を救うため、海を渡った…。透明感あふれる文体で感情の揺れを繊細に綴った、至高の恋愛小説。
バイヤーとして仕事の手応えを感じる真昼は、古巣の先輩もうらやむ老舗セレクト・ショップに転職、華やかなデビューを飾る。だが、買い付けに行ったパリで、金融危機の影響で親会社がファッション事業から撤退を決めたと聞かされる。時代の荒波に翻弄され、失意のままニューヨークに辿り着いた真昼が見つけた、新たな目標とはー。等身大の女性が情熱を胸に、迷いながらも自分の人生を切り拓いていく、女性版青春起業小説。
みんながやっているような恋愛が、わたしにはできない。別に構わない。わたしなりに幸せだし、毎日は楽しいー様々な葛藤と不安の中、様々な恋に身を委ねる女の子たちの、様々な恋愛の景色。苺、さくらんぼ、玉ねぎ、マスカット。そこには、彼女たちを静かに見守る食べ物たちがいて。複雑な想いを綴る短歌と、何かを言いたげな食べ物たちに彩られた恋愛短編集にして、普通ではない恋愛に向き合う女の子たちのための免罪符。