著者 : 上遠野浩平
人の心の中にはひとつの卵があるという。その卵は心の中で表向きは無いことになっている何者かを貯えながら育っていき、殻の中で生まれ出るその日をずっと待ち続けているのだという。それが殻を破ったとき、その可能性はこのぼく、ブギーポップをも凌いで、世界を押し潰すかも知れない。…そして卵の指し示す運命はここにひとつの対決を生み出す。一人は既に最強で、もう一人はこれから殻を破る。だが宿命の秒読みは二人が出会うそのときまで刻まれ続ける。最強と稲妻、この二人は己の生きるたったひとつの道を見出すため、多くの者を巻き込み避けえぬ激突を迎えることになるだろうー謎のエンブリオを巡る、見えぬ糸に操られた人々の死闘の第一幕がいま上がる。
君は何かを取り逃が(ミッシング)してしまったことはあるかな? とてもとても大切なことだったのに、つまらない意地を張ったり、目の前のことばかりに気を取られて見逃してしまったことはないかい? ……これはそういうことを繰り返さざるをえなかったある魔術師の話だ。 彼は天才で、成功者で、そして失敗者だ。この魔術師が辿る一途で愚かで、そして寂しく陽気なこれはアイスクリームの物語。冷たく鮮烈な甘さは、一瞬の、そう、このぼくブギーポップですら見逃してしまうほど速く、あっという間に溶けてきえてなくなっていくひとときの慰み──道化師と死神とそして夢破れた人々が織りなす、無邪気で残酷な哀しいお伽噺。
君は何かを取り逃がしてしまったことはあるかな?とてもとても大切なことだったのに、つまらない意地を張ったり、目の前のことばかりに気を取られて見逃してしまったことはないかい?…これはそういうことを繰り返さざるを得なかったある魔術師の話だ。彼は天才で、成功者で、そして失敗者だ。この魔術師が辿る一途で愚かで、そして寂しく陽気なこれはアイスクリームの物語。冷たく鮮烈な甘さは、一瞬の、そう、このぼくブギーポップですら見逃してしまうほど速く、あっという間に溶けて消えてなくなっていくひとときの慰みー道化師と死神とそして夢破れた人々が織りなす、無邪気で残酷な哀しいお伽噺。
君はこの世に取り返しがつかないことはないと思うかい?辛い過去も、どうにかして精算することができると思うだろうか。それとも過去は、触れることのできない暗部でどうしようもないかな?昔に起きたことはその後のすべてを決めて変えることはかなわないのだろうか?…これはぼく、ブギーポップの誕生に関する物語だが、ここには四人の変わり者が登場する。彼らは探偵で、人の恐怖を喰らう者で、作家で、暗殺者だ。彼らが炎の魔女と出会うときに、四人が辿る道を、あなたは取り返しのつかぬ失敗と見るか、それともーささやかで不可思議な、六つの異形の視点から語られる、ブギーポップ最初の事件。
“ぼくは歪曲王。君の心の中にある歪みに君臨するもの。君が歪みを黄金に変えることができるまで、ぼくはずっと君の側にいるだろうーー” 二月十四日の聖バレンタイン・デイ。 都市のど真ん中に屹立する異形の高層建築〈ムーンテンプル〉の観覧イベントに集まった人々を巻き込んで世界が歪んでいく。人々に甘く囁きかける歪曲王は、すべてがねじ曲がったその世界こそ天国にいたる階段だという。そして、そこにはもうひとつの奇妙な影がまぎれていた。“やはり来たな、ブギーポップ……!”人の心に棲む者同士が相まみえる時、終わりなき一日が、幕を開ける。
あなたは自分の心の中に、何かが足りないと思ったことはない? 他の人にはあるのに、自分にはそれがないと悩んだことはない? 欠けているものを誰かに埋めてもらいたいと願ったことはない? そのことなら、もう心配はいらないわ。すぐに“そのとき”が来る。新しい可能性がひらかれて、苦しみのすべては終わるときが来る。私の敵〈ブギーポップ〉が邪魔さえしなければーー。私? そうね、敵は私を〈イマジネーター〉と呼ぶわ……。 第4回電撃ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞の上遠野浩平が書き下ろすスケールアップした新作。イマジネーターの手から君は逃れられるか……?
君にはやらなければいけないことがあるかい? そうしなくてはだめだと思い込んでいることはないかい? それは君にとって本当に大切なことなのか、真剣に考えてみたことがあるかい? もし、君がどんなことをしてもやり通すというなら、それもいいだろう。だが、それが、何の望みも願いもない、ただの暴走であるなら、君は〈イマジネーター〉の手の中に墜ちているのかもしれない。もしそうなら、このぼくーー〈ブギーポップ〉は、何度でも君の前に帰ってきて、そして“対決”するだろうーー。 ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞の上遠野浩平が書き下ろす、待望の新作。君はブギーポップに救われるのか、それとも……。