著者 : 久嶋薫
蒼天の王蒼天の王
黒雲に覆われた空から激しい雨が降りそそぐ日、自転車に乗る拓の前を何かがかすめた。起きあがった拓は、自転車の傍に白い炎を見た。だが、炸裂する稲妻に照らしだされたのは二人の男だった。彼らは拓を「蒼貴」と呼んだ。蒼貴とは百年まえに如意宝珠という珠を盗み追われている者だという。杏美に想いをよせる拓、そして仲間たち。彼らにとってそれは理解し難いことに思われたが…。
いちごブロンド場外乱闘いちごブロンド場外乱闘
あたし(志乃)の家族は両親も二人の兄も声楽家なのに、あたしは声が悪い。で、ピアノを弾いてる。でも髪は真っ赤、ピアスをしてて、一目でワルとわかる。ところが、学校の合唱部から、コンクールの伴奏を頼まれた。あたしは断った。あたしのピアノは伴奏のためのものじゃない。それに、指揮者の三村は、はじめて顔を合わせた時、あたしのカッコを見るなり、こんなやつとは…と言った。
南・レポ-ト南・レポ-ト
あたしは警察学校に入ったばかりの警察官の卵。正式には、婦警初任科岩崎教場南巡査ということになる。30〜40人が1クラス。毎日きっちり詰まった時間割。月月火水木金金。そんな辛い毎日を送っているとき、あたしのまわりで頭の上から刃物が落ちてくるような奇怪な出来事が起こりはじめた。あたしの好きな人懐こい一枝に相談してもそっけない。なんでこんなことが…、怖いよー。
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