著者 : 伊東七つ生
大正時代・帝都。新富町で歯科医院を開く花守啓介は、治療で使う道具を追究するうちにある鍛冶職人の作品に興味を持つようになる。人づてに頼んで向島の指物師が持つ十本組のノミを見せてもらうが、その名品が忽然と消えた時、花守が犯人と疑われてしまった。現場を調査したのは、農商務省の嘱託・白菊芳史。彼は人の悪意を養分にする“異客”と呼ばれる寄生植物の対応に当たっていて…?明朗快活な好漢と人を寄せ付けない美貌の男の出会いから始まる、謎めく植物をめぐる探偵譚。
不本意ながら再び後宮に戻された若き王后・鈴雪。戸惑いながらも、王・藍叡とは不器用な交流を経て、互いを信頼しはじめていた。さらに鈴雪は、生来の誠実さと離宮で学んだ機転で、敵対していた妃たちの協力を得る。後宮での連続死の真相に迫ったさなかー鈴雪は謎の毒に倒れてしまう。瀕死の鈴雪の回復を願う王。その必死さを嘲笑うように、今は亡きある女の影が闇にうごめき…。全ての謎と裏切り、そして鈴雪の秘密が明かされる!カクヨム頑張る女子主人公コンテスト受賞書籍化作品。受賞時の内容に加えて、特別番外編「雪解けはまだ遠く」収録。
「この娘はいずれ王を害する」託宣を受け、静かな廟で生涯を終えるはずだった鈴雪。しかし、幼い彼女の運命は流転する。王の手で強引に都へ連れ去られー王后とされたのだ。だが、途方に暮れ泣きじゃくるだけの鈴雪は離宮へ追いやられてしまう。時は流れ、彼女が十九となった時。王の世継ぎが死ぬ原因は呪いだという噂が流れていた。噂の払拭と、連続死の真実を探る密命のため、鈴雪は再び後宮へ連れ戻される。離宮で美しく知性ある女性とになった鈴雪が投げ込まれたそこは、陰謀渦巻く世界だった…。
囚われた内親王・脩子の魂蟲を探す昌浩は、益荒から斎の魂が何者かに奪われたと知らされ伊勢に向かう。 対峙した黄泉の魔物が明かした「玉依姫」を狙う戦慄の理由とは? 時を同じくして、冥官の命をうけたもうひとりの陰陽師・榎リュウ斎が動き出した……! 「神を祈る、神に祈る。守り給え。守らせ給え。すべてを」 都で、伊勢で、播磨で。戦いにすべてを懸けた命たちが繋いだのは、一条の希望の光だったーー。 〈厳霊編〉第5弾!
現代東京、大陰陽師・安倍晴明の孫と同じ名をもつ中学2年生の安倍昌浩は、半人前ながら十二神将とともに陰陽師として依頼を受けている。 ある日レストランに出た女幽霊の事件がきっかけで強大な化け物と対決することに! その化け物は、女性を夢に誘い生命力を奪うという。 ついには幼馴染みの彰子も倒れて目覚めなくなり!? 彼女を救うため、一人で戦うことを決めた昌浩は……。現代に生きる“少年陰陽師”の物語、新展開!
穢れの雨が降り続く都。陰気に乱された龍脈を鎮めようと邸を出た昌浩と太陰の前に現れたのは、泉津日挟女だった! 脩子の魂蟲を取り戻すため対峙したその時、成親に潰された昌浩の右肩に激痛が走る! 傷とともに埋め込まれた籠目の術が教えたのは、敵に与した成親の本当の目的だったーー「意地だ。あの大陰陽師安倍晴明の後継と、一度でも呼ばれた者の矜持だ」 兄弟の絆に、黄泉の赤き雷が牙をむく!! <厳霊編>第4弾!
時は現代。安倍晴明やその孫たちと同じ名と性質を持ち、十二神将を供にして陰陽師を生業とする者たちがいた。 今も京都に棲む妖たちが遭遇した、安倍晴明を名乗る禍つものの正体は?(「久方ぶりの再会」) 成親の夢に立った高淤の神に会うため、紅蓮と東京を発った昌浩の京都めぐりの顛末(「遠からんものは音に聞け」)など、 再録&大量書き下ろしで一冊に! 現代に生きるもうひとりの“少年陰陽師”の物語が幕を開ける!
やんぬるかなーー国中に押し寄せる木枯れと死の連鎖。伊勢だけでなく愛宕にまで及ぶそれに、十二神将たちの力は限界を迎えつつあった。 そして都に戻った昌浩と紅蓮が直面する残酷な宿命。 「お前の後継。残る寿命は、--」 しかし昌浩は、再会した藤花の涙に戦う覚悟を決める。あの日、櫻の中に埋めてきた願いを守るために……。 ついに辿りついた智鋪衆の本当の目的、それは最古の咒言を為すためだった! <厳霊編>第3弾!
こない未来の、夢。なかった過去の、夢。溺れたくなるほど、幸せなーー。黄泉の風を呼ぶ歌は人を惑わせ、生気を奪い、夢にひそむ……。それは藤花のいる都だけでなく、伊勢の斎たちにも及び!? 一方、重傷を負った螢のもとに留まる昌浩だが、神祓衆の結界が何者かに壊されてしまう。菅生の郷に迫る異形のものたちを退けるため、向かった先に立ちはだかるのは……大好きな兄だったはずの、成親ーー! <厳霊編>第2弾!
あの歌が、葬列を連れてくるー使い果たした霊力を回復するため、太陰らとともに菅生の郷へ向かう昌浩。束の間の安らぎを得るが、神祓衆の守り神・大自在天の社が落雷で崩壊し!?神威を失った神域で甦った黄泉の死者が、螢と時遠に手を伸ばすー!一方、〓斎(りゅうさい)や螢が長年苦しめられてきた件は、智鋪衆の計略だったと気づき愕然とする晴明のもとに、冥官が現れ…?それぞれの運命が交錯する新章“厳霊編”開始!
時は平安、若き陰陽師・安倍晴明と、その無二の親友・榎リュウ斎。彼は、生まれたときからある予言に縛られていた。件の予言ははずれない。その予言は必ず、現実のものとなるーー苦しみながらもその運命に立ち向かい、友として晴明を気に掛け続けた彼の行く末は……(「いつか命の終わる日が」)。その他、昌浩の邸に来た当初の彰子が生家に思いを馳せる一幕「あの日、髪を切ったとき」など、ファン垂涎の6編が短編集になって登場! ※リュウ=「山(やまかんむり)」に「立」