著者 : 八重野統摩
終わりの志穂さんは優しすぎるから(1)終わりの志穂さんは優しすぎるから(1)
七月、咲留間島。東京のはるか南に位置するその島で、俺は絵を描いていた。もしこの夏の間に納得できる作品を描けなければ、この島に骨を埋めようと覚悟して。そんなある日、俺は織川志穂と名乗る女性と出会う。穏やかで可憐な彼女は、幽霊が見えるのだと言った。その真偽はわからないまま、しかし俺は彼女と時間を共有する。蓮池の女霊、ハマユリに見える少女の呪い。そして、消えた彼女の父親。謎に触れるうち、俺は彼女が何かを隠していることに気付きー。
還りの会で言ってやる還りの会で言ってやる
いじめをする奴は、もちろん最悪だ。だが、いじめを見過ごす奴だって最悪だ。おれはそれを理解していながら、幼なじみである柚舞が迫害を受けている事実から目を背け続けてきた。そんな自分に終止符を打とうとした矢先、宇佐部と名乗る男がおれ達の前に現れる。そいつは柚舞のことをダメ人間だと堂々と口にしたあと『ダメ人間社会復帰支援サークル・還りの会』だなんてふざけた集団を作っておれ達を引きずり込み、連中への復讐を企み始めるのだがー。
PREV1NEXT