著者 : 劇団イヌカレー
カグヤが意識を失ってから一週間が経った。《勇者》の内部に精神を囚われ昏睡状態のカグヤ、そして研究長の訃報。混迷するカローンの前に《勇者》は再び現れる。 「……元に戻っただけだ」 そう言い聞かせるように戦いへ身を置くアズマたち。だが、カグヤが示した“救い”を今更忘れることなどもう出来ない。 《勇者》と『勇者』。殲滅軍の内と外。彼らはどこから来たのか。なぜ戦わなければならないのかーー終わりなき戦火の果てに逆転する世界。 全てを知った少年は再び“勇者”になることを決意する!
秋葉原の《女神》との戦いから二ヶ月。リハビリや訓練にあたる「カローン」のもとへ、タカナシ・ハルという新たな女性隊員が送り込まれる。 上層部からの“監視”なのは明白なハルの経歴に、たとえ監視といえども仲間ーーそう過去の自分を重ねて手を差し伸べる決意をするカグヤ。 「人を救ってやるために戦場に出る? 笑わせるわ」 だが、相手はアズマ以上の難敵で……!? ハルの言葉に反目するように、カグヤは救いこそが是であると思い詰める。 救うべき、救わなければ。己が正義と信じ、取り憑かれた救世の果てに少女が目にするもの。 「じゃあな。……人間」 それは激励と羨望と皮肉と、裏切りでーー。
勇者、それは世界を救う力。夢の中で「勇者」と称えられた少年少女は、ただ美しき女神の言うがまま魔物を倒していた。-その魔物が“人間”だとも知らず。“勇者”、それは世界を滅ぼす力。謎の生物「女神」に寄生された夢見る少年少女は、無意識の怪物と化し破壊を尽くす。そこに悪意も、敵意もない。一方的な正義が押し寄せる終わりなき戦い。その均衡は、少年・アズマが率いる勇者殲滅の精鋭部隊『カローン』によって保たれていた。“勇者”の研究を志す少女・カグヤは、ある日『カローン』への所属を命じられる。だが過去の災厄で全てを失ったアズマたちにとって、カグヤの存在は受け入れ難いもので…。