著者 : 博
大学生活も、怪しいサークル「セッケン」の竹千代と春目との付き合い方にも慣れてきた小熊に、浮谷から突然の依頼が舞い込む。それは原種のキャンタロープ・メロンの輸送の仕事だった。大勢の人の情熱がつまったメロンを運びながら頭に浮かんだのは「仕事」とは何かということ。近いうちにやってくる社会人という称号は、小熊を否応なく社会の歯車の一つにしていく。バイクにも無数に使われている「歯車」が何なのか知りたくて、小熊はP.A.S.S社というバイク便事務所を訪ねて…。自分のやりたい事、自由、それから責任。全部カブが教えてくれた。カブと小熊が過ごす1億分の1の青春、ここに完結。
大学入学を目前に、小熊は思いがけず愛車のカブ50を全損してしまう。代替車として用意されたのは「スーパーカブ90」。東京での小熊の大学生活は、新しいバイクと共に始まった。入学式、オリエンテーション。それから木造一軒家の自宅のセルフリノベーション。試行錯誤しながら大学生活に慣れ始めた小熊は、不思議な雰囲気の2人の女性に出会う。黒いドレスが目を引く美女・竹千代と、なぜかカブを見て辛そうにする少女・春目。「セッケン」という謎のサークル活動をしている彼女たちに誘われ、夜の街に出かけることになって…。新しいカブが小熊にもたらす出会いとキャンパスライフ。
間もなく始まる大学生活。町田の新居に荷物を運び入れた小熊は、一息ついて小さな縁側に置かれた愛車のカブを見た。中古で買ってから2年弱。毎日の手入れのおかげでエンジンなどの内蔵機関はとても良い状態だが、よく見ればあちこちに傷がある。一緒に過ごした軌跡のような傷跡をなぞりながら、小熊はこのカブを手に入れた高校二年からの出来事を思い出す。椎のリトルカブの納車を礼子とお祝いしたこと、3人で遊びに行ったスワップミート、恵庭家でささやかにご馳走を食べたクリスマス。そんなに経っていないのに、何故か懐かしい。大学入学前に、カブと共に振り返る山梨で過ごした珠玉の日々。
高校生最後の日、卒業式。小熊、礼子、椎の3人は窮屈な式典の終わりを合図に、ポケットからカブのキーを取り出した。 高校生から大人になるまでの、短い猶予。それを目いっぱい使って、自分たちがこれから暮らす街・東京を知るために3人はバイクを走らせる。有料の駐輪場、密度の高い建物群、夜になっても明るい道。東京の街は刺激的でなにもかもに圧倒されそう。 「道は走りながら決めればいい。だってそのほうが面白いから」 自分たちが見つけた、それぞれの未来。その分岐点はきっとすぐそこ。分かれ道までほんのひと時を、カブとカブで繋がる誰より近い2人の友達と走る、小熊の卒業旅行。 ★アニメ化企画進行中!★ 監督:藤井俊郎 シリーズ構成・脚本:根元歳三 キャラクターデザイン:今西 亨 アニメーション制作:スタジオKAI
高校卒業も間近の1月。3か月後に迫った大学生活の目途も立ち、山梨で過ごす時間もあと少し。しかし残った高校生活を平穏に過ごそうとする小熊とカブに、突然の試練が襲い掛かる。 入院期間は5週間。初めての入院、初めての手術。同じ病室になった、3人の個性的な女性たち。カブと引き離された小熊の日常は半日で一変していた。一方、大学受験を控えた椎は、たったひとりである挑戦をしようとしていて…… 両親も友達も趣味もない、何もなかった少女が手に入れたカブのある生活。これからもバイクと一緒に生きていくために、もう一度少女が向き合う、カブとの付き合い方。
卒業も近づく高校3年生の冬。年末年始のイベントに浮き立つ世間をよそに、小熊はひとり、冬休みを迎えようとしていた。「やっぱり、私にはカブしか無いのかもしれない」そんな折、小熊をヘッドハンティングしたいというバイク便会社の社長・浮谷が現れ、新たなバイトを始めることに。敏腕経営者とは思えない、どこか子どもっぽい浮谷。個性の違う同僚ライダーたち。大晦日の夜に出くわした、幽霊のような少女・史。馴染みのバイク解体屋で起こる、予想外のメロドラマ──両親も友達も趣味も、何も無かった。そんな小熊にカブがもたらした、人とのつながり。
両親も友だちも趣味もない、何もない少女だった小熊が、スーパーカブと出会って、もうすぐ1年。礼子・椎と今までよりも少し賑やかな毎日を過ごす彼女は、高校3年生になる。友だちと一緒の昼ご飯。当てもなく寄り道する放課後。バイクでしか出来ないアルバイトーーカブは小熊の生活を変えた。「私はどこにでも行ける」東京の大学へ進学が決まり、新天地に思いを馳せる小熊だったが、大学生活は【バイク禁止】とわかり……。
両親も友達も趣味もない、何もない日々を過ごしていた小熊が、スーパーカブを買って数ヶ月。季節は変わり、南アルプスの麓に吹く風は日に日に冷たくなっていく。かじかむ指。かかりにくくなるエンジン。肺が凍りつく向かい風。雪の積もった道路ー同じくバイク乗りの礼子と共に、試練の季節へ挑む小熊。カブとの出会いで少しずつ変わる彼女のことが、同級生の恵庭椎は気になっていて…。少女たちとバイクの、厳しく楽しい冬が始まる。
山梨の高校に通う女の子、小熊。両親も友達も趣味もない、何もない日々を送る彼女は、中古のスーパーカブを手に入れる。初めてのバイク通学。ガス欠。寄り道。それだけのことでちょっと冒険をした気分。仄かな変化に満足する小熊だが、同級生の礼子に話しかけられー「わたしもバイクで通学してるんだ。見る?」1台のスーパーカブが彼女の世界を小さく輝かせる。ひとりぼっちの女の子と世界で最も優れたバイクが紡ぐ、日常と友情。