著者 : 吉月生
幼い頃に両親をなくしずっと孤独に生きてきた久遠。憂鬱な高1のある日、見知らぬ女の子いのりから告白される。「君は私の運命の人です」強引ないのりに押し切られるように始まった関係は、やがてモノクロだった久遠の日常を鮮やかに変えていく。天真爛漫で、宇宙と量子力学と天体観測に夢中で、運命を強く信じているいのり。時折見せる陰に戸惑いながらも、彼女を好きになっていることに気づいた夏ー。いのりは殺人事件を起こして、久遠の前から姿を消してしまう。
クリスマス間近、ベテルギウス超新星爆発を観測した日の夜。昴の乗った京浜東北線最終電車の第二車両が、突如消え去った。気づいた昴がいた場所は、まだ開通していないはずの高輪ゲートウェイ駅ーーそこは、5年後の未来だった。 失われた時間に、最愛の彼女を亡くしていた昴。そして、様々な事情を抱える瞳、勇作、晟生、真太郎の乗客たち五人。変わり果てた未来に追いつけないでいた昴たちは、過去に戻れる可能性があることを知る。 ただし、戻れるのは一人だけーー。 衝撃の結末を読み終えた時、はじめてこのタイトルの意味に涙するーー未来と過去をつなぐSF青春ラブストーリー。
静養を理由に、祖父母のいる海辺の田舎町へ移り住んだ新。唯一の日課は、夜の海辺を散歩すること。父との確執、諦めた将来の夢、病気の再発。海を眺める時間だけは、この憂鬱な世界を忘れられた。ある夜の海辺、新はエラという女の子に出会い、惹かれていく。やがて、周囲で次々と不思議な出来事が起きるようになり…エラは、奇跡を起こす本物の“天使”だった。「忘れないでね」切なく笑った天使に秘密があることを新は知る。そして、残された時間がわずかなこともー。
6年前、僕は、愛する人を永遠に失ったー。それ以来、喪失感を抱えて生きてきた僕。死ぬ直前、突然に別れを切り出して去った彼女の行動が、今もずっと心に引っかかっていた。「もしもあの時、無理やりにでも彼女を引き止めていたなら、二人の未来は違ってた?」そんな過去の後悔を引きずる僕に、ある日、18歳の失敗をもう一度やり直すチャンスが訪れてー。あの日の君にもう一度会いたい…切ない願いが奇跡を起こす感動ラブストーリー。