著者 : 夏井瑤子
男のコを好きになる気持ち、みんなわかるよね。声を聞くだけでドキドキしたり、姿を見るだけで、うれしくなったり。そんな大切な想いが、どうして踏みにじられてしまうんだろ?ただ私が“DE・BU”ってだけで…。新しい学校、新しい友だち。誰も知らない人たちのなかで、中学時代の私とはさよならした、はずだったのに。思い出したくもない、あのイヤなあだ名で呼ばれた日から、悪夢がよみがえってしまった-。
大好きな舜とファーストキス。映画ならここでエンドマークかもしれない。でもあたしたちは、これからが本当のはじまり。Aを経験したら次は-。あたし、舞。高校2年生。ついに同い年の舜とファーストCを経験してしまったの。「結婚しようね」っていわれて、涙がでるくらい幸せだった。すごく迷ったけど、舜を愛してたから…。なのに、嘘をついて外泊したのがママにバレて、舜に会えない。体の調子もおかしくて、もしかしたら。
“A”ってなんだか知ってるよね。じゃ、“B”はわかる?それなら“C”だって意味わかるわよね。あたし、藤村圭子。鶴見花園女学園高校に通う、恋を夢見るごくふつーの1年生。知識としてわかっていても、もちろん“A”だってしたことないもん!好奇心だけはあるんだけど…。みんなも、そうよねっ。ところが、大のなかよしのひとみが、つき合ってる先輩の家に泊まっちゃったのお。「好きだから」ってひとみは言うけど、あたしは…。
やっぱり冬はスキーよね。あたし、松宮梢子はウキウキ気分。親友の万由子、彼女のパパの寅おじさまとベンツで目指すは「ガーラ湯沢」のはずだったんだけど…。スキー場を前にしてなんとベンツがエンスト。あーん助けを呼ばなくっちゃ。「なんだこりゃあ、ベンツがエンスト、おまけにへんな組み合わせ!」イヤミなヤジ!黒いちっちゃな車から男がふたり顔を出す。このヤローと思ったけど、これがすごいハンサムなの。くやしいけど!
ふぇーん、やっぱりあたしが一番前よね。だって、身長146cmしかないんだもん。いま、あたしたち校庭で修学旅行の予行演習やってんの。「整列してください」って、あこがれの津島君の凛とした声が響いても、ドジでのろまなあたしは、どうしてもワンテンポ遅れちゃうの。「おい、麻生美里!オマエがのろいとオレが迷惑するんだよ」ひえー、一番背の高いスケバンの来島蘭子が、ガンを飛ばしてこっちに来る〜。ピンチ、ピンチよ〜。
バスケ部の間宮森生クン、大好き。あたし、森谷志乃は体育館のヨコを通るときにチラリと練習を見ることしかできないの。コラッ、ウジウジするなっていつも思うけど、強烈な恋のライバルもいるもんなー。新体操部の三沢美子には、ルックスじゃ負けちゃうもん。でも、世の中どこに知り合うきっかけがあるのかわからないものよ。あたしの場合は、それがシャワー室だったワケ。エヘヘ。ちょっとここじゃ、話しにくいわよっ。