著者 : 天酒之瓢
空飛ぶ大地の覇者を決める戦いは、ハルピュイアたちの王である『竜の王』と西方最強の飛空船『飛竜戦艦』が互いに致命傷を与えあう痛み分けに終わった。戦いの余波が漂う空飛ぶ大地に強欲なる商人が暗躍する。その魔の手が大地の中心へと伸びた時、破滅の光が柱となって天へと伸びた。空飛ぶ大地を襲う未曽有の激震。西方人であれハルピュイアであれ、大地の支えなくして生きることはできない。あらゆる勢力が否応なく光の柱をめぐる流れの中に巻き込まれてゆく。その頃、修復を条件に飛竜戦艦を乗っ取ったエルネスティはご機嫌で飛竜をぶん回しついでに事態の調査へと向かっていた。そうして光の柱へと接近したエルたちは知ることになる。噴き出したエーテルだと思われていたその正体を。
飛空船の登場により果てなき大空へと乗り出した人々は、やがて空に浮かぶ広大な大地を発見した。噂に導かれ冒険心から空飛ぶ大地へやってきたエムリスとアーキッドは、たどり着くなり争いに巻き込まれてしまう。戦いのさなかに飛空船から落下してしまったアーキッド。彼を助けたのは空飛ぶ大地に住まう有翼の民、ハルピュイアであった。キッドはハルピュイアと行動を共にしながら、空飛ぶ大地に眠る重大な秘密に直面する。源素晶石ー飛空船に必要不可欠な物資が大地の下に眠っているということに。鉱脈を狙って続々と上陸を果たす国々。大地を踏み均す幻晶騎士の大部隊。強欲なる商人があり、眠れる北の巨人がある。その裏では黒騎士たちが暗躍しー。そうして混迷を深める空飛ぶ大地に、ついに彼が現れる!
ボキューズ大森海での騒乱を終え、銀鳳騎士団は巨人族と共に王都に帰還する。巨人族、そしてエルネスティを襲ったという第一次森伐遠征軍の末裔の存在は、フレメヴィーラ王国にとってまさに寝耳に水。突如もたらされた途方もない話に、もはや既存の価値観は通じず、王国は新たな時代へと踏み出していくことになる。そして銀鳳騎士団にもまた、巣立ちの時が迫っていた。此度の事件で銀鳳騎士団の影響力を重く見た国王リオタムスは、エドガー、ディートリヒ、ヘルヴィらが率いる各中隊を新たな騎士団として独立させるよう告げる。エルネスティの下に残る者、騎士団長としての道を踏み出す者、新たに入団を目指す者ーーそれぞれの想いを受けて銀鳳騎士団は形を変え、新たな飛翔の時が訪れる。
穢れの獣による襲撃から飛空船団を護り、ボキューズ大森海に墜ちたエルネスティとアデルトルート。森に暮らす巨人族ーカエルレウス氏族と出会った彼らはやがて、巨人族の間で起こる戦いの流れに呑み込まれていった。一方の銀鳳騎士団は飛空船団を再編成、森の奥深くを目指して進む。騎士団長を捜す彼らの行動は森にさまざまな影響を及ぼしてゆき、ついに巨人族の最大氏族であるルーベル氏族が動き出すに至った。圧倒的な力を持ち、さらに穢れの獣を引き連れたルーベル氏族の暴虐に立ち向かうため、エルたちは各氏族を糾合し、諸氏族連合軍の立ち上げを計画する。
ボキューズ大森海へと乗り出したフレメヴィーラ王国飛空船団は、未知なる魔獣との遭遇により撤退を余儀なくされた。エルとイカルガは皆を護るべく奮戦し、無事に船団を逃がすも森へと墜ちてしまう。追いかけてきたアディも一緒に、二人は森の迷子となった。彼らを待ち受けていたのは予想だにしない出会いー『巨人族』との遭遇であった。巨人氏族同士の争い。普きものの大敵、穢れの獣。そして陰で蠢く小鬼族なる者たちー。巻き起こる戦いがエルとアディを呑み込んでゆく。孤立無援の二人は、しかしあきらめ止まることなどない。「ここで幻晶騎士を、作り上げます」生み出されるは驚天動地の異形の機体。争いの只中へと向けて飛翔する!