著者 : 山崎晴哉
アシラスたち三人は神の子として試練の旅を続けていた。その途中、スペインの山越えにさしかかった時、不思議な霧に襲われ、愛馬を見失った。その行方を追って辿り着いた先は、王の誕生パーティに華やぐ聖マホロスキ城だった。城中では、楽の音にあわせ、人々が笑いながら踊っていた。アシラスたちも姫を紹介され、ともに踊る。しかし、踊る人々の笑顔には、恐るべき秘密が隠されていた。
アシラスはエジプト新衛隊の隊士だが、本当はキルマ王国の生まれだった。幼い頃、キルマがエジプトに滅ぼされた際、大商人イスペロに助けられた。ある時、雷鳴の中で「祈れ」という声が聞こえてきて、稲妻の先によって正義の神の子アシラシオンと成った。やがてクレタスと名乗る双子の弟が現れ、二人でスラトニ王国に向かうことになった。そこではサーナ姫をめぐって、陰謀が渦巻いていた。
ローマの国民的英雄であるカエサルが暗殺された。彼の遺言によって後継者はオクタヴィウスと決まったが、ローマは依然として不穏な空気が漂い、二派に分かれて争いが続けられていた。この機に乗じて、マルディン軍団は囚われているアルシノエを救いだした。一方、クレオパトラは反カエサル派から命を狙われたが、危ういところをアシラスに助けられ、すぐにエジプトへ帰国することにした。
ローマで行われるカエサルの凱旋式に、クレオパトラはカエサリオンを伴って出席した。クレオパトラは、莫大な富を持つ美貌の女王としてローマの人たちに認められたが、いまだにカエサルに身も心も許していない。カエサルの名声が高まり、暗殺をはかるグループが出現した。そんなとき、カエサルの留守にクレオパトラの寝室に二人の男が忍びこんだ。
プレトマイオス14世と再び形式的な結婚をしたクレオパトラだったが、彼女の胸をこがす相手は、アシラスとマルタだった。カエサルのプロポーズを巧みにかわしながらも、囚われの身の妹アルシノエのことが気がかりで、牢を訪れた。そこへマルタがアルシノエを助けに現れたため、アルシノエはますますクレオパトラへの憎悪を深めてしまった。そのころ、アシラスは謎の集団と戦いをしていた。