著者 : 峰月皓
知っているだろうか?一日に数十万の人が利用する、東京の某ターミナル駅には「神様がいる」。その神様はいつも、優しい目で私たちを見守ってくれている。理不尽な上司の元で激務をこなし、疲労困憊の会社員。金を無心してくる元彼につきまとわれて悩んでいる女性。一人ぼっちでエキナカを寂しげに徘徊する小学生…。そんな彼らを、「エキナカの神様」は決して見放さないー。ささくれた心を、そっと癒やしてくれるハートウォーミング・ストーリー!
新宿・歌舞伎町のビルから飛び降りて亡くなった母親の形見を整理していた女子高生の摩耶。彼女が見つけたのは、ずっしりと重い、漆黒の拳銃。トカレフ。やはり母は事件に巻き込まれたのだ。そう確信した摩耶は母の死の真相を探ろうと、拳銃を手に歌舞伎町へ向かい、ヤクザ抗争に巻き込まれる。不条理なルール、納得できない暴力ー立ちはだかる困難に心折られながらも、必死にぶつかっていく摩耶。そして彼女は、新たな人生を歩み始める…。
東京暮らしに挫折して、故郷へと舞い戻った青年、牧水良平。実家の小さな商店を手伝うわけでもなく、悶々とした日々を送っていた。そんな彼が一念発起!人口の少ない田舎町で、コンビニを起ち上げようと決意する。当然のごとく次から次へと難題が降りかかってきて、若き店長は行き詰まるのだがー。いつも立ち寄るコンビニの裏でも、こんなドラマが繰り広げられているのだろうか!?何事にもへこたれず、前へ進んでいく青年を描いた、元気の出る爽やか青春小説。
所田三郎は狭く暗いトンネルの中を、物言わぬ軌条に優しく触れながら、一人歩いていた。やがて前方から、悲鳴のような汽笛が聞こえてくる。待避用の穴に潜り込み、三郎は轟音を立てながら走る機関車をやり過ごす。そしてトンネルへと立ち戻った彼が目にしたのは、線路に横たわる若い少女の姿だったー。時は昭和初期。線路を守る保線手として、二十年以上ひたむきに働いてきた純朴な男と、世間知らずの美しい少女が紡ぐ、ほのかなロマンス。