著者 : 新田一実
修一の寮での怪事件から二週間が過ぎたある日、蠱物師・嘉神が不可思議な依頼を持ち込んできた。理由もなく突如自殺した女性の魂を呼び寄せてほしいというのだ。自分の管轄外と考えた竜憲は、この件を鴻に任せるが、数日後、真紀子と共に買い物へ出た帰りの踏み切りで、自らが奇妙な自殺現場に遭遇してしまった。次々と続く、原因不明の自殺騒動。果たしてこれらは意図されたものなのか。
クリスマスも間近い郊外の街。時間をつぶすために何げなく立ち寄ったライブハウスで、竜憲と大輔はベーシストの突然死に遭遇した。後日、そのベーシストの霊が現れるという知らせを受け、調べに入った鴻は、友人のルポライター・中沢に、死んだベーシスト・斎藤の周辺取材を依頼する。ところが、調査を始めた中沢に、記憶喪失という異変が起こった!!はたして、ベーシストの異常な死に方には、なんらかの意思が働いているのか…。
まだ肌寒い春先のとある朝、竜憲と大輔のもとに、鴻が行方不明との連絡が入った。二人はさっそく電話の主-鴻の昔からの友人で、幽霊屋敷取材のため鄙びた温泉宿に泊まるライターの中沢高志のもとへ急行する。ところがその晩、意外なことが起こった。宿にいない鴻から「宿にいる」という連絡が入ったのだ。得体の知れない空間に紛れたのは鴻か、それとも。はたしてこの一件に幽霊屋敷は絡んでいるのか…。
ゆっくりと体を引き寄せ、唇が重なる…。「やめろ!」と、竜憲が叫んで、弾き飛ばした相手は、まさかの大輔。悪い冗談なのか、彼に取り憑いた魔物の仕業なのだろうか。一方、もともと女にしか興味がない大輔の前には、美しい女が神出鬼没する。しかし、この女が現れるたび、誰かが消えていく-。人を食らい、若さを食らって生き、大輔に会いにくる女の目的は何?命を賭けて魔物と対峙する大輔の運命は。
霊能者を父に持つ大道寺竜憲に、幼なじみの沙弥子からSOS。倉に棲む霊の封印を解いたのだという。しかし、駆けつけた竜憲は、飛鳥の都を恐怖に陥れた、邪悪な魔物に取り憑かれてしまった。竜憲の身体を寝床とし、血に集い肉を喰らおうと襲いかかる魑魅魍魎。陰陽の頭である父・忠利は、破魔の術で、霊を引き剥がそうとするのだが…。殺るか殺られるか-壮絶な戦いが始まる。