著者 : 枕木みる太
人類と吸血鬼による闘争に終止符を打つ存在ー銀のアルケミスト。伝説の錬金術を操ることになる少年ハギオは、養成学校に通いながらも、いまだ目覚めぬ錬『銀』術を秘めた一人の学生だった。授業ではトップクラスの錬金術の遣い手ながら、『領域』と呼ばれる固有の能力が開花しないハギオは、ある日、街で純血吸血鬼の美少女、九炉と出会う。人類に恨みを持っている彼女と、吸血鬼に家族を殺されたハギオは、やがてお互いの立場を理解し始めるがー。ハギオの錬銀術を巡り、錬金術師集団『薔薇十字団』と伝説の吸血鬼一族が鎬を削る、ブラッドバトルファンタジー!
みんなは『賢者タイム』って知ってるかな?そうだね、一人でアレコレ楽しんだ後の、あの至福の一時だね。俺は性欲が無限に湧いてくるので、すぐに復活しちゃうけどね!…って思ってたんですけど、禁忌としていたアレをオカズにしたら、賢者タイムが終わらなくなったんです!えっちな小説も全然書けなくなって、夢だった作家デビューもなくなりそうだし、一体どーすればいいんだぁああ!でも、性欲がなくなったら書く小説が爽やか青春小説になり、女子にも意識せずに話しかけられるようになって、まさかのモテ期が到来!?でも、こんな状態でモテてもしょうがねーんだよぉおお!
渋谷の夜を照らすアドバルーン。気球に下がる布には、夜の街を楽しむ人達のメッセージが次々と流れていく。そんなメッセージの中に、「夜が怖い人もいるんです」という悲壮な呟きを見つけた、気球の管理人、横森佑。夜のにぎわいを守るため、呟きの主と待ち合わせると、やってきたのは一人の少女。それが、言葉を発せず、今にも消えてしまいそうな女子高生、咲良との出会いだった。夜の屋上に居場所を見つけた青年と、夜に怯える少女が、二つの月の下で出会う、儚い恋愛物語。
表参道の裏路地にある、隠れ家的な美容室の『夢やうつつ』。そこで働く葉所日陰は、鏡越しにしかお客さんと目を合わせられないほど内向的だが、かつてはトップモデルのヘアメイクも担当したほどの腕前。さらに、裏オプションの彼のシャンプーは「夢シャン」と呼ばれ、シャンプーの最中にお客の悩みが夢となって視えるらしい。お客さんの悩みを解決するため、最高のヘアスタイルを生み出す日陰のもとには、悩みを抱えたお客さんが、今日も後を絶たない。書き下ろし。
古着屋の聖地、東京は下北沢。上京したての僕がべっこう飴の匂いに誘われて迷い込んだのは、路地の奥に佇む古着屋、ヌックラ堂。その店のドアには“ワケあり古着、買い取ります。”と綴られた小さな黒板が吊るされていた。古着を愛する、猫背&マッシュボブの女店主、かの子さん。看板三毛猫のコネ。そして潔癖症だけど古着だけは大丈夫な僕は、今日もワケあり古着を持ち込むお客さんたちをお迎えする。持ち主の想いがつまった不思議な古着たちとの物語。