著者 : 林星悟
〈暴力〉に置き換わる〈道具〉として少女たちが戦う世界。 レインはハナの真実に心がついていけず、彼女とまっすぐに向き合うことができずにいた。 彼女の心とは無関係に、戦舞台で敗北した2人を『鉄の国』へ運ぶ心動車。 だが、彼女たちを乗せた車は突然止まり、1人の少女を降ろして再び動き出す。 「と、止まって……置いてかないで……」 ハナと離ればなれにされてしまったレインはひとり、悩みながらも〈道具〉として歌い、踊る。 一方、研修生としてレインと引き離されたハナにも笑顔の裏に知らなかった感情が芽生えーー。 紅く暗い『鉄の国』。 “彼女”が隣にいない世界で、キラキラを探す少女たちが紡ぐ絆と愛の物語。
少女たちが強いられたのは“道具”として、ただ歌うこと。突如飛来した隕石により地上は荒廃。人々は新しい国家を建て、闘争や略奪を繰り返していた。国家間の戦争の手段として「暴力」と置き換えられたのが、少女たち「アイドル」だ。砂漠で覆われた「砂の国」に、国民からは崇められ、少女たちからは恐れられているアイドルがいる。技術を高めることだけに関心を持ち、感情はどこかに置いてきてしまったかのような少女・レイン。最強を誇る彼女の無敗記録はずっと続くはずだった。だが、感情豊かに歌う少女・ハナによってその記録は止められる。このハナとの出会いは、レインの胸にこれまで知らなかった感情を芽生えさせー。色のない世界で生まれた、少女たちの愛と絆の物語。
突如として人間世界に現れた竜と呼ばれる生物。彼らと共存するため、雛谷若虎は竜を治す医者“竜医”として類稀なる才能を発揮して活躍していたー竜災“ドラグハザード”が起こるその日まで。史上最悪の医療ミスによって災害を引き起こしたとされ竜医界を追われ、事件から七年経った今でも災害跡地で孤独に暮らす。そしてある日、若虎の前に竜医を目指す三人の少女が現れる。彼女らの才能を見出し、若虎は竜医という存在に向き合いながら指導を始める…!鉄を食べてお腹を壊したり、火竜の炎で火傷をしたり…。竜ならではの症状に戸惑うことばかり…?前代未聞の竜×医療ファンタジー、ここに開幕!
人形剣士ブレイスの次なる依頼、それは職人の街クオーヴルに迫る災厄の吹雪を止める為『吹雪の主』を倒すこと。だが、先の死闘でリネットの魔力が尽きて以降、ブレイスは満足に戦えずにいた。本来の力を取り戻すべくリネットを操る特訓を始めるが、なかなか思うように結果が出ない。そんな中、花火職人見習いのクロシェと出会う。彼女はある願いを胸に、花火の術を学びに来ていた。クロシェの願いが『吹雪の主』と結び付いていることに気づいたブレイスは更に特訓を熱を入れていく。しかし、未だリネットは思うように動いてはくれない。そして吹雪は無情にも街に迫りー。様々な思いが交錯する最優秀賞受賞の絆の物語、第二幕。
人形剣士ブレイスにはある疑いが掛けられている。奴は人形のリネットと共に魔獣を狩る独自の戦闘スタイルで名を馳せている…が、実はリネットが人間なのではないか、という疑いだ。本物の少女を操って戦っているのなら、それは攻撃魔法とされ重大な犯罪行為に値する。奴の悪行の証拠を掴むために私、ガルノー・ギルトフッド一等審問官は三ヶ月の間、監視任務に当たっていた。そんな中、世間を騒がせている「陽炎事件」の首謀者、幻術使いのバーズ捜索に同行することに。ブレイスの活躍もあり、事件は収束したがそれは、更なる陰謀の序章でもあったー。最優秀賞を受賞した、決して絶ち切れることがない、二人の絆の物語。第14回MF文庫Jライトノベル新人賞最優秀賞受賞。