著者 : 柳原澪
二人きりになってしまった矢代純と早瀬綾佳のもとに、京都で不穏な動きがあるという知らせが届く。そこには、以前純たちをつけ狙った男の気配もあった。迷いながらも京都行きを決めた純と綾佳の前に、決別した仲間の影がちらつく。不安定な体を抱えながらも、自分にできることはしたいと望む純。その純の思うようにしてやりたいと願い、自分の体に起き始めた不調を隠して動く綾佳。そして、変わってしまった水藤深矢。行き止まりに入り込んだキメラたちの行き着く場所はー。第12回電撃小説大賞“金賞”受賞作シリーズ、感動の完結編。
弱っていた水藤深矢の体は、次第に回復し始めていた。だがそれと同時に、彼は精神的な不安定さを見せるようになる。一方、矢代純の体にも異変が起きていた。時折かすむ目、長い間忘れていた気温に対する人間的な感覚。そんなとき、彼らが住む町で子供が行方不明になる事件が起きる。消えた子供たちの間に広まっていた妙な噂。彼らはある文章をお告げとして信じていた。『願いがあるならば、階段を上れ』この事件に《モノ》が関係しているのではないかと疑った純たちは、真相を追って動き始める。第12回電撃小説大賞《金賞》受賞作シリーズ第3弾。
エレベーターが止まった。閉じこめられてしまった矢代純は、乗り合わせた三人の男女、十文字誠、水藤深矢、早瀬綾佳と共に、狭い箱の中で異形のものに襲われる。その不可思議な体験以来、純たちの体に変化が起こり始めた。傷つかない体、突然回復した視力、幽霊が見える目、そして、いくら食べても満たされない飢え。戸惑う純たちの前に、モノ祓い師であるという七倉和巳が現れる。そして彼は告げる。エレベーターの中で遭遇したのは、人間を喰って生きる“モノ”であり、彼ら四人の体は今、その“モノ”と融合してしまっているのだとー。第12回電撃小説大賞“金賞”受賞。