著者 : 椹野道流
八咫烏奇談八咫烏奇談
激しい羽ばたきの音とともに矢のごとく舞い下りてくる巨大な翼。闇よりもなお黒い、忌まわしい姿のそれは、薄刃のごとき鉤爪で少年のやわらかな皮膚を容赦なく裂き破る。華のように散る鮮血。眼もくらむほどの苦痛。-みるみる混濁しかかっていく敏生の視界に、だが、誰よりも大切な人の背中が映る。(天本さん…!)追儺師・天体と半精霊・敏生。話題のコンビが百鬼を討つ!ネオ・オカルト・ノヴェル。
泣赤子奇談泣赤子奇談
ーそして一瞬の静寂をついて天本の耳に届いたのは、微かな、…しかし紛れもない赤ん坊の泣き声だった。(どこだ。…どこにいる)天本の視線が鋭く室内を走る。下腹をめった刺しにして死んだというあの女生徒の、これは死してすらなお胸に抱くことを切望された、愛し児の声なのだろうか。だがー追儺師・天本と半精霊・敏生。話題のコンビが百鬼を討つ!ネオ・オカルト・ノヴェル。