著者 : 水沢菜穂子
「まず会社を辞めよう!」二十二歳の吉武真希は単調な生活を変えたくて、ついに決心する。そんな真希の気持ちは、高校時代からの彼、圭輔には伝わらない。気持ちが通じあわないまま、「東京で美術の勉強をする」と宣言する真希。「俺たちはもう終わりなのか」と呟く圭輔。その言葉に真希の心は揺れる…。会いたい時に会えないのは、恋人じゃないの。
「どうして別れちゃったんだろう?あんなに2人、うまくいっていたのに」-沢村郁子、28歳。親友、緑の結婚が、4年前に終わった恋を、彼女に思い出させていた。須藤裕也に出会った大学2年の夏。劇団を主宰していた彼にひかれ、つき合い始めて。郁子の思いが、裕也との時間を遡る…。2人とも一生懸命だったのに、気持ちがすれ違っていったのはなぜ…?もうひとつの『君と歩かなかった青春』。
本間ゆき、28歳。結婚、女友達との関係、仕事のことで、気持ちが揺れている。そんな時、大学の先輩・植村孝司に再会した。10年前の怖い印象とは打って変わった彼の穏やかな表情が、ゆきを驚かせる。何が先輩を変えたのだろう。ゆきが尋ねると、彼は“自分を大きく変えた、信じられない出来事”について語り始めた…。恋愛することの意味を問い直す問題作。
なぜ彼は、合いカギを送り返してきたの。高校時代からつきあっていた藤井和也に、一方的にふられた牧瀬結美。23歳。和也との思い出いっぱいの部屋を引っ越した結美のもとに送り返されてきた合いカギ。傷つき、切ない思いを抱いたまま、結美はそのカギを持って以前の部屋を訪れる。そして、『高垣友次朗』という名にひかれるように、部屋の扉を開けてしまった…。
これは、私、山口緑、28歳の、実現しなかった恋の物語です-。結婚式を10日後に控えた緑は、洋風居酒屋で親友の沢村郁子に、18歳から10年間に渡る“伊瀬敏也”との思い出を話しはじめた。卒業式、彼のアパートでの出来事、シンデレラエクスプレス、そして、彼の突然の渡欧…。すれ違いばかりだったけれど、時間が気持ちを一緒にしてくれると信じていた思い出を。もどかしく、切なさが募るラブストーリー。