著者 : 水無月さらら
ティ-ンエイジ・ウォ-クティ-ンエイジ・ウォ-ク
首の細い環は、レイプされた女の子のようだった。青ざめた肌色が痛々しい。俊也は昏い欲望が沸き上がるのを意識した。環を傷つけるとき、俊也の身体はいつも燃えるように熱くなる。なにがなんでも従わせたい。だが、俊也のギラついた目を見返して、環はゆっくりと言った。「僕はもう女の子の格好をする気はないんだ」いとこの俊也と離れて過ごした一週間で、環は自分たちに必要な答えを見出だしていた。
まるでプラトニック・ラブまるでプラトニック・ラブ
予備校講師の久住は、肩に擦り寄ってくる感触に、半分眠ったままで腕を彷徨わせた。(-あれ?)抱き寄せた身体は温かかったが、なにかが違った。スレンダーな女性は好みだけれど、こんなにも肉付きの悪いヒップはついぞ覚えがない。-そうだ。痩せた女ではない。これは、発育途上の少年の身体だ。目を開けるとそこには、昨日、山手線の中で拾った桜庭環のあどけない寝顔があった。
イノセントの扉イノセントの扉
フリーのイラストレーター・夏生は、別れた妻・ゆかりの妊娠のため、同居を始めたばかりの雅道から離れて、生活を送っていた。(まーさんに会いたい…。会って、しっかりと抱き締めてもらいたい)父親になることへの戸惑いを感じながら、自分の存在を確かめるため、再び雅道へ近づいてゆく夏生。そこに、ゆかりの担当医である、木原という男が現れて-。
不透明なリエゾン不透明なリエゾン
やがて、夏生の唇にその感触が触れてきた。(キス…だよな?)真上にある三年生の笑顔には、後ろめたさのかけらもなかった。中学一年の夏休み-先輩・雅道との運命の道程が、あの寮の裏庭から始まった-。フリーのイラストレーター・夏生は、三年間続いた結婚生活の終わりを、雅道に伝える。それを知った雅道は、今度こそ、お互いの気持ちに答えを出そうとするが…。
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