著者 : 水芙蓉
地味な娘だー軍神の側近シキのホタルへの第一印象はそんなものだった。何かを洗い流すかのように静かに涙を零すその姿を目にするまでは。軍神の妃の侍女ホタルにとって、飄々として何を考えているか掴めないシキが一番苦手だった。「遠耳」と呼ばれる特異な聴覚の持ち主であることを知られるまではー。恋に落ちることなどあるはずもなかった騎士シキと侍女ホタル。そんな二人がどうしようもなく惹かれていく様を、甘くもどかしく描く『軍神の花嫁』もうひとつのロマンス。
シン・タール。それは親友ホタルと軍神の側近シキの結婚式で、サクラが初めて見た異国の花。そのほんのりと蒼い花と同じ名を持つ極東の国へ、軍神カイはサクラをお忍び旅行へ連れ出すことに。草原を抜け、翼竜に乗り、森と海を渡ったその先にはー。拡大する黒い魔獣の被害、魔獣討伐に向けた連合軍編成の兆し。そして、世界が激動するさなか、カイが忽然と姿を消す。見知らぬ世界を巡る二人の甘い旅路と、三種の神器誕生の秘密が紐解かれる第三巻。
国を護る「破魔の剣」、その「鞘」となること。そのために軍神カイと結ばれたサクラが、様々な試練を乗り越え、共に過ごす幸せな日々も束の間。ある日を境に、剣がサクラの元に戻らなくなる。一方、各地で魔獣達の暴走が始まり世界に異変が起きる。そんな中、鞘としての役割を失ったサクラに向けられた悪意が大事件に発展しー。小説投稿サイトで熱狂的支持を得たサクラの妹アオイと狩人イトとの出会いを鮮烈に描く外伝『天使の堕ちる夜』も大幅加筆修正のうえ併録。
「剣は鞘にお前を選んだ」美しい長女と三女に挟まれ、目立つこともなく生きてきたオールド家の次女サクラは、「軍神」と呼ばれる皇子カイにそう告げられ、一夜にして彼の妃となる。課せられた役割は、国を護る「破魔の剣」を留めるため、カイの側にいること、ただそれだけ。屋敷で籠の鳥となるサクラだが、持ち前の聡さと思いやりが冷徹なカイを少しずつ変えていき…。すれ違いながらも愛を求める二人を、神々しいまでに美しく描くシンデレラロマンス。