著者 : 水鏡まみず
人と獣の激闘は続いていた。未だ意識を取り戻さない英雄、フィオに代わって偽りの希望となった弟子のウェズリーはキリエ達と共に奔走するが〈黙示録の獣〉の圧倒的な成長力に為す術もなく蹂躙されていく。獣の進化により突如、出現した大樹の振り撒く瘴気の影響で、人類滅亡までに残されたリミットは僅か三日間に。憔悴していくウェズリーのため、ソーニャは決戦に向けてある行動を開始する。そんななか、眠り続けているフィオは。「わたしがいるべきなのは、辛くて残酷な世界だから。そこがどんなに辛くても、ヒューイット様が守った世界だから」「その身に刻め、獣。おまえたちの憎悪なんかに屈しない、人間の力だ」--世界が英雄の目覚めを待っている。
先代英雄ヒューイの死から五年後、世界は変わらずに〈黙示録の獣〉の脅威に晒され滅亡への一途を辿っていた。残された現英雄のフィオは継承を行うためにウェズリー、キリエという二人の弟子を取るのだが……。 「二人とも、もっと仲良くできませんか?」 「こいつの言葉遣いが汚いのが悪いんです」 「このガキがつっかかるのが悪いっしょ」 なんだかんだでどうにかこうにか、各地を旅しながらも世界の滅びを食い止めていた。ある日、英雄の力の全てが記されている遺物〈ゲオルギアの魔術書〉の所在が判明し手がかりを頼りに捜索に向かった一行だったが、フィオは何かを弟子の二人に隠しているようでーー。 終末世界を巡る、儚く切ない英雄継承譚、希望を繋ぐ為の第二巻!
全世界で不規則に現れた〈黙示録の獣〉と呼ばれる怪物の存在により、人類は絶滅の危機に瀕していた。獣に対抗すべく二百年間、受け継がれてきた“英雄”の力により、世界はどうにか保ち続けていた。英雄の定めにより、一か月後には死が確定している現英雄、ヒューイ。死を目前にしても尚、やる気のない彼が自らの弟子に選んだのは、か弱い美少女の奴隷エルフ、フィオだった。呆れる周囲を他所に、当のヒューイはまじめに弟子の稽古をする訳でもなく……? 「あの、なんで私は膝枕をさせられているのでしょうか?」「せっかく奴隷を買ったわけだし、なんかそれっぽいことしようかなって」世界の全てを託された継承は一体どうなる!? 最も無謀な英雄譚、開幕!