著者 : 永田ガラ
如月そよ子。鳥辺市の市会議員を務める彼女は、その美しさゆえ「愛らしすぎる市議」として全国でも有名。しかし実は彼女、極度の人見知りで、いつもオドオドしている内気な性格。自分みたいな人間が市議をしていていいのだろうか?と悩む日々を送っていた。そんな彼女のもとに、ある日、野獣のように威厳たっぷりの一人(?)のイケメン秘書がやってきたー。仕事に自信をもてず、あと一歩を踏み出せないでいる貴女に贈る、前向き&元気になれるハートフルストーリー!
ときは戦国時代。本能寺の変が起きる、まさにその夜。本能寺のそばで、親しげに語り合う男たちがいた。なんと彼らは、織田信長と明智光秀。実はこの二人、ある茶器を求め、地獄から蘇ってきたのだ。冥府王の命令で、名器「つくもがみ」の行方を探っていく主従二人。そして彼らの前に現れる、悩める若き絵師・狩野元秀と謎の少女なべ。抗いがたい運命を背負った彼らは、それぞれの目的を胸に抱き、激動の時代を生き抜こうとする。そんな四人が行きつく先は、果たしてー。
室町初期の京。咲き誇る桜の下でも、不安定な経済、消えぬ内乱の予感に人々は先の見えぬ日々を過ごしていた。裕福な結婚相手を探しに清水に参篭した宮家の女官・小宰相の君は、野心家の猿楽師・三郎太夫に見初められる。一方、盗賊として町を跳梁しながら生き方に悩む秋春は、父親との不和にもめげず明るく生きる少女・於次に恋をするが…。動乱の時代、それぞれの場所で自分なりの道を模索する男女の人生が交錯して走り出す。若き日の観阿弥をめぐる物語、三部作の完結編。
室町初期。将軍臨席のもと、大観衆を集めて行われた華やかな田楽興行で、見物の桟敷が崩れ落ち、数百人が死傷する惨事が起きる。戦災孤児の少年・犬弥はどさくさにまぎれ、死んだ舞い手・花夜叉の遺骸から美しい紅の衣を奪い取るが、そこから思いもかけなかった運命が開けてゆく。後世、天女舞の名手として世阿弥や足利義満に絶賛され、観阿弥とともに初期能楽に一時代を築いた犬王太夫の、傷つき、悩みながらも懸命に自分の生きる道を見いだそうとする波乱の少年時代を描く。
室町時代の大和。天性の美貌と才能で、幼い頃から人気者となった猿楽太夫の三郎は、父の死をきっかけに兄の一座を離れた。そして十七歳の今、自分の一座を建て、将軍足利尊氏の前で舞いたいという野望を抱く。僧兵の忍性、「地獄の獅子舞」が武器の増らを誘い、夢の実現に向け走り出す。しかし彼の野望を知った南阿弥ら一味の謀略が、その背後で動き始めていたー。能楽の大成者・観阿弥が新たな芸術の創造に向けて試行錯誤する若き日の姿を鮮烈に描く。