著者 : 江中みのり
契約夫婦が紡ぐ小料理屋立て直し物語。『幸せにならなくていいから一人でいたくない』ブラック職場に疲れ果てた花澄が辿り着いた、閑古鳥鳴く老舗小料理屋「春霞亭」。店主の敦志と利害の一致から契約結婚した花澄は、共に店の再建を目指すことになる。華やかな街並みから浮いた古びた店構えに、センス無しの盛り付け、ヘンテコな内装。味は絶品だけど問題が山積みな店を繁盛させるため協力する二人の間には、次第に特別な想いも芽生えていきー。幸せ願う縁起めしを届ける、美味しい小料理屋奮闘記。
古文書に傾倒し、周囲から“解読師”と呼ばれる歴史学専修の院生・綱手。研究室で見つかった古文書の返却を任じられた綱手は、瀬戸内海の小さな島を訪れる。同行者のトラブルメーカー・相馬に振り回されつつ返却を済ませた綱手だが、連続殺人事件に遭遇してしまい…。島に伝わる『白妙姫伝説』を模した殺人、白妙姫の生まれ変わりと信奉される少女、内容が欠けた謎の手記ー。綱手は古文書を読み解き、歴史の陰に隠された真実に光を当てる。
江戸の吉原一、料理が美味いと評判の見世・美角屋。そこで働く菓子の料理番・太佑のもとには、今日も様々な想いを抱えた者が訪れる。不祥事を起こし落ち目となった歌舞伎役者、最後の登楼にきた馴染みの老爺、初めての客どりを控えた遊女見習い…。『生きるための食事ではない、ひと時の幸福のための菓子』を作り続ける太佑は、彼らにどんなひとくちの菓子を届けるのかー。2018年“メディアワークス文庫賞”受賞。心温まる人情菓子物語、涙と感動の第2巻。
江戸の吉原一、料理が美味いと評判の中見世・美角屋。そこで働く“菓子専門の料理番”太佑は、日々訪れる客や遊女達のために菓子を作っていた。しかしある日、幼馴染で見世一番の花魁・朝露が全く太佑の菓子を食べていないことを知り…。切ない想いを秘め、懸命に生きる人々にひとくちの“夢”を届けるーとある料理番の、心温まる人情物語。第24回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞受賞作。