著者 : 津月ひかる
沢木涼は、あたしのケンカ友達。あいつは、バスケ部の元エース。言いたくないけど、カッコイイ。ほんとにモテる。でも彼女がコロコロ替わる、超いいかげんなヤツ。おかけで、あたしは、恋人にするなら、ぜったいマジメで誠実な人がいい、と思ってる。で、あいつとは正反対の村上くんと付き合うことになったけれど…。演劇部で、ずっと脇役だった、あたし-。卒業までに、恋の主人公になれるのかな。
カレとあたしをつなぐのは、ポケベルのメッセージだけ。逢いたいのに…(第1話)。アイドルなんかしてると、好きな人さえできない。そんなあたしがときめいた相手は…(第2話)。夢かない、武道館コンサート決定。約束どおり、お前を迎えにいったら…(第3話)。-好きな人と、一緒にいたいって気持ちは、アイドルだって同じ。3組の恋人たちの、イブの素敵なラブストーリー。
「必ず、迎えにいくからね」。約束の言葉を残して、遠くへ行ってしまった和彦くん。10年ぶりに再会できたのに、あたしに、わざとそっけなくふるまうの。でも、あなたのやさしさを、あの約束を、信じてる-。
転校生のゆりは、茶色い髪に濃い化粧。いかにも“問題児”って外見で、笑顔すらみせないやつだった。でも、オレは知ってるんだ。ホントは、純粋で、誰よりも優しい子だって。ただ、傷つきやすい心を、必死で隠しているだけなんだ。だからオレ、何があってもゆりを守る。オレが生まれて初めて、“ときめき”を感じた女の子だもんな。だけど…。
「じゃあな、かな子」。東京の大学へ行く先輩を見送った3月。そして4月。あたしたち-、あたしとみゆきと翔也は、高校3年生になった。3人が同じ場所にいられるのは、あと1年たらず。もう一度、春が来たら、それぞれの進む道へ、別れていってしまう。お互いが大切で、傷つけたくなくて、本当の気持ちを心の底にしまってきたあたしたちだけど、想いはもう隠せなくて…。
北浜高校入学式の日。初対面のあたしに向かって、とんでもなく失礼な台詞を言ったアイツー翔也。あの日から、あたしと翔也は、口を開けばケンカばかりしてる。でも…、あたしが迷ったときや困ったときに、ぶっきらぼうな態度で助けてくれたのも、アイツだったー。ただのケンカ相手のはずなのに、なぜ、アイツのことが気になるの…。
あたし、麻衣。サッカー部のキャプテンしてる松永と付き合い始めて、もうすぐ1年になる。一緒に帰ったり、デートしたり。うまくいってるつもりだったけど…。いつからだろう、松永のまなざしや言葉の中に、いままでと違うものを感じだしたのは。あのよそよそしさは、あたしの思いすごしなの…?不安でいっぱいのあたしの前に、ある人が突然、現れて…。
あれは中学三年生の春。光の中で、ふと足をとめたその人は、とても淋しそうな目をして、校舎を見つめていた…。-あたし、友美。高校二年生。一年前にたった一度逢っただけの男のコが、どうしても忘れられないの。名前すらわからなくて、友だちは「もう、あきらめなよ」って言うんだけど…。でも、ある日、偶然にも彼と再会。あたしは、勇気をふりしぼって…。
「90日だけ、ネコの姿で、この世にとどまることを許しましょう」綾が悲しみから立ち直るまで、どんなことをしてでも見守ってやりたいっていう、オレの必死の願いに、神様も根負けしたらしい。-というわけで、ホントなら、とっくに天国へ行ってるはずのオレ、良は、ネコのリョーとして、綾のそばにいる。ただし期限は90日。たったこれだけの時間で、オレにできることは、なんだろう…?