著者 : 白井英
先の混沌解放によりベルディアの地に解き放たれた古代カストゥール王国の軍勢は、再びクリスタニア全土を征服せんと画策し、猛虎の民と共闘を張りつつ帝国軍や獣の牙と敵対、同時に魔力の塔の建造をも開始する。ベルディア宮廷魔術師団の叛乱にも助けられ、行き場なき亡国の軍勢は着実に、かの地を蝕んでいく。獣の牙ベルディア砦の面々は、ジェイナスなるカストゥールの民を味方として必死の抵抗を試みるものの、砦は陥落の危機にさらされる。未曾有の強敵、そして傭兵の代表としての重責に、若き承認者リュースはどう立ち向かうのか?「傭兵伝説」連作、ここに完結。
傭兵団・獣の牙のリュースは、封印の解法を継承し、神獣の支配する地クリスタニアに新たな時代の到来を導いた。封印が解かれたことで、かつてこの地で覇を競いながらも浄化されつつあった妖魔を統べる王をも再び野に放つこととなった。還るべき場所もなく、かの妖魔王はベルディアの地に君臨すべく反乱を企てる。同じ頃。リュース一行は、宿敵である暗黒の民が支配する、ベルディア帝国の王都に向かっていた。その役目も、その目的すらも知らず、彼らは再び大きな時代のうねりの中に巻き込まれていく。神獣の民と暗黒の民、新しき民、そして妖魔。かの地に住まうすべての者の未来を、リュースらの決断が左右するー。
不毛の大砂漠地帯・ラブラドル大地峡。その灼熱の大地から、赤き剣を持つ男はやってきたー。北クリスタニアの中央部、フォレースル地方の首都スループを目指し、男とその配下である蟻人族の屈強の戦士たちは北上する。神獣クロイセの名代たるその男の名は、レードン。その頃、ケレンスなる小村の護民兵・カルーアは、テューレやフィランヌら北の王国ダナーンからの使者と出会い、スループを目指すというそのパーティとともに旅立つことになる。臆病で、己に自信の持てぬ自分自身を、変えるために。戦乱の予感の中、それぞれの思惑を秘めて、彼らは出逢い、すれ違う。そして、レードンの真の目的とは。