著者 : 石黒敦久
市役所で働く地方公務員の吉田公平は、真面目なことだけが取り柄の青年。ある日、いきなり異動命令が下り、配属されたのは、なんと異世界だった…。異世界公務員として、転生者向けの出張所で、パーティを追放された冒険者に失業給付金を払ったり、税金を滞納している転生者から徴税したり…と、九時〜五時勤務の中で、現代日本と変わりない(?)業務をこなしていく公平。人気アイドルの転生者ミーカや鳥人族ニコといった可愛いアシスタントも加わり、充実した公務員ライフを堪能するが、やがてアメリカなど他国の異世界公務員との出会いから思わぬ事件に巻き込まれ、異世界の大きな謎に挑むことにー。常識の通じない世界に戸惑う堅物公務員を愉快に描く、奇想天外ファンタジー!
身も心もすっかり癒やしてくれ、不安や悩みも取り除いてくれる温泉宿があるとしたらーー行ってみたいですよね? 気怠い通勤中、OLの朝海が満員電車の中で出会ったのは、茶虎の猫。ふらふらとついていくと、いつのまにか目の前には、古式ゆかしい日本家屋。 そこは、心疲れた人だけが招かれる、不思議な旅館「月猫庵」。 人懐っこい猫又や天狗や河童、果てはつくもがみなど、あやかしたちにノセられた朝海は、月猫庵で働くことに……。 新米仲居の彼女は、次々に訪れる「疲れた人」たちを、しっかり癒やすことができるのか…?
東京の小さな書店で、個性的な店員に囲まれながら働く楠奈津。文庫文芸担当の彼女は、新人バイトの紗和とともに膨大な仕事に埋もれていた。 ある日、某出版社から持ち込まれた新人デビュー作のゲラを読んだ奈津は衝撃を受け、全店フェアを提案する。だが、「なぜ新人の作品を?」「情熱だけで売れるわけないだろ」と周囲から猛反発を受ける。 「私が売りたいと思ったんですよ。売れてほしいと思った。それじゃいけないんですか!」 果たして、奈津の想いは報われるのだろうかーー?
妻と娘を喪ったことで、いつも自殺のことばかり考えている宗太。コーヒーとポカリしか口にしない生活を送り、餓死間近…といったある日、アメリカに住んでいる姉と、その娘が突然、自宅を訪れる。彼女たちの心配をよそに、立ち直る気配を見せない宗太だったが、無邪気にはしゃぐ五歳の姪ジルの驚くべき秘密を知り、生活が一変するー。人生は、やがて儚く消えてしまうもの。しかし、そこには、かけがえのない希望が満ちあふれている。