著者 : 菅浩江
メルサスの少年メルサスの少年
ぼくの背中にあるふたつの瘤、それは出来そこないの翼のようだった-異形の遊女たちが、春をひさぐ“歓楽の街”メルルキサス。身ごもることが出来ないはずの“メルサスの女”から産まれた少年イェノムは、ただひとりの“街の子供”として育てられていた。彼の不満は十五になった今でも子供扱いされること…。ある日イェノムは、世界支配をもくろむトリネキシア商会の魔手からのがれて、この“螺旋の街”にやってきた少女、未来視をもつカレンシアと出会った-。夢幻と冒険に満ちた異世界ファンタジー。
鷺娘鷺娘
“しょせん、あんたも過客の人や”郷里での就職を決めた南条を、美樹は激しくなじった。京都に生まれ育ち、そこを離れられない美樹には、4年間の大学生活が終わればあっさりと好きだったはずの街を出ようとする彼が不実な恋人に思えたのだった。南条の自分に対する気持ちが分かっていながら、恨みと悲しみ、そして怒りが交錯する。その美樹の心に闇の幽王の后・烏珠が忍び入った。
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