著者 : 速峰淳
勘違いからシトリーの元婚約者に絡まれた春澄は、魔物狩りでどちらが多くポイントを稼げるかを、勝負することになってしまう。その魔物狩りというのは、公爵主催で行われる五年に一度の大きなお祭りで、春澄とシドは観客の注目を集めつつ、開始早々どんどんと魔物を狩っていった。一方、春澄たちの活躍を中継のモニターで見守っていたユキは、途中でシトリーとはぐれてしまったことに気がつく。嫌な予感がしてシトリーを捜していると、路地裏で刃物を持った男が現れて脅されてしまう。シトリーの無事を確かめるために、ユキは危険を承知で一人で男についていくのだがー。
ユキの群れ探しが一旦解決した春澄達はメランジュ王国へと戻って来ていた。やがて、春澄達はバルジからの依頼を受ける事に。バルジの古い友人が治める地に沼があり、そこに正体不明の魔物が居るというのだ。何人もの人間が犠牲になっており、手に負える者が居ないため、魔物を倒すよう頼まれたのだった。その沼がある辺境へと向かった春澄達は、領主の館で以前出会ったサティウスとフィルス兄弟に偶然再会する。どうやら今回の依頼は兄、サティウスの方にも少なからず因縁のある依頼内容だったようだ。春澄達は依頼を達成するため、サティウスはトラウマを克服するため、共に沼へと出発する事になったのだが…。
幼い頃に両親を亡くし、施設で育ってきた櫻井春澄。実の祖父のように慕う師範に武術を教えられて育った。現実世界では武術を極め、仮想世界のゲームでも最大レベルまで自身のキャラクターを高めてしまう程、強さを身につける。ある日、突如現れた魔法陣に抵抗虚しく吸い込まれる春澄。異世界への召喚途中、世界の管理者と名乗る神のような存在に引き止められ、とある依頼をされる。師範のことが気掛かりだった春澄は非常に悩みつつも、異世界へ行くことを決意するー。これは、他人に興味の無かった春澄が、異世界で仲間を見つけ、感情の変化に戸惑いつつも、ゆっくりと他人を受け入れていく物語である。