著者 : 遠雷
聖剣を手にし、聖騎士となった夫エリオットに離縁されたフローラ。 失意の果てに、元騎士のギルバートや鍛冶師のドルフ夫妻と出会い、共に旅に出るなかで少しずつ居場所を見つけていく。 だが、辿り着いたジエメルド公爵領で一行を待ち受けていたのはーー大量の不死魔獣と、王国を揺るがす黒き策謀の影だった。迫る脅威を討ち払うため、フローラたちは一転、王都への旅路を急ぐ。 一方、エリオットは未だ弱まりゆく聖剣の打開策を見出せずにいた。焦りと困惑が募るなか、アグレアス主催の王都観覧討伐で、数多の観客の下、彼は再び不死魔獣に挑むことになるが……。 種々の想いは、誘われるように王都闘技場へーーそして、祝福の下、ついに因縁は決する。これは、人々の祈りが奇跡となって、その優しさで世界を照らす物語。 第一章 人と人を結ぶもの 第二章 崩れ行くもの、あがくもの 第三章 ジエメルドの過去と特製スープ 第四章 王都の落日 第五章 造船 第六章 王都へ 第七章 観覧討伐 第八章 狂乱の中で 第九章 反撃の蔦 第十章 交錯するもの 第十一章 悔いる者、嘲笑う者 第十二章 言祝ぎ 第十三章 祝福の霹靂 第十四章 未来を紡ぐ祈り
不死魔獣との苛烈な戦場で、聖剣を手にし、聖騎士として覚醒したエリオット。王国の英雄となって帰還した彼が妻フローラに突きつけたのはーー離縁状だった。 「戦場でそばに寄り添い、支え続けてくれた聖女を愛してしまった」 そう告げる夫の言葉に、フローラはただ静かに離縁を受け入れる。安全な王都でただ祈ることしかできなかった自分には、彼の隣に立つ資格などなかったのかもしれないと思って。そうして彼女は王都を去ったのだった。 だが、その日を境にエリオットの聖剣は陰りを見せ始めてーー。 一方、すべてを失ったフローラは、旅の中で一風変わった人々と出会い、自分の居場所を見つけ始める。やがて彼女の祈りは、女神の加護をいただく祝福となり、仲間を護る奇跡となってゆく。 第一章 凱旋と離別 第二章 鍛冶職人の村 第三章 毀れる刃 第四章 旅支度 第五章 武器商人 第六章 隠れ郷 第七章 恥さらしの義勇 第八章 形の無い祈り 第九章 灯る光、伸びる影 第十章 北部掃討作戦 第十一章 王都の斜陽 第十二章 神鳴り 第十三章 歪むもの