著者 : 那西崇那
独部由良の願いを叶えるため、彼女の《歪み》を修正した伽羅森。 だが、《歪み》は世界で繋がっている。 その修正の影響で、世界各地に甚大な被害が発生した。 「独部由良は救うべきでない命だった。そう思わないかい?」 自らが引き起こしたと言っても過言ではない凄惨な任務に赴き、伽羅森は《魔剣》ティルフィングを振り続ける。……自らの運命を破滅させる、その蒼剣を。そして、その破滅は最悪の形で訪れ──。 「そんな顔しないでください……元々……なくなっていた命ですから」 伽羅森の不幸を望む蒼剣が、彼に科す運命は。 そして彼が選ぶ“正義”。その最果てにあるものは──。
死闘の果てに、悲願の一つを叶えた伽羅森は、高校生という日常へと戻る。魔剣ティルフィングに呪われている状況は変わらないが、彼はどこか燃え尽きたような日々を過ごしていた。 そんな中、日継との新たな任務で出会った一人の少女、独部由良。彼女は「普通の人間には視認できない」歪みを抱えた少女で……。 「私、このメンバーで、バンドをやりたい!」 誰からも認識されない彼女の切なる願いを叶えるために、協力を始める伽羅森やアーカイブたちだったがーー。 「私は……何をすれば良いのでしょうか」「何をしたっていいんだよ、もう」 『自由』を叫ぶための蒼い戦い。その咆哮は、どこに響くーー。
《歪理物》──この世界の歪みを内包した超常の物体。 伽羅森迅が持つ蒼剣もその一つ。願いの代償に持ち主を破滅させる《魔剣》に「生きたい」と願った彼は、生きながら周囲をも呪う運命を背負わされた。 《本》に運命を縛られた無機質な少女・アーカイブと共に彼は《歪理物》が関わる凄絶な事件と戦いの日々へ身を投じる──彼の歪みに巻き込まれ、アーカイブの依り代とされてしまったあの少女を救うために。かつて希望を見せてくれたあの少女を……。 「絶対に助ける。……たとえそれが、アーカイブを消すことになっても」 二人の呪われた運命の歯車は、一人の女子高生と《文字を食らう本》に出会い、急速に回り出す。 その先に待つ未来は破滅か、それとも──。 最後の1ページまで最高のカタルシスで贈る、第30回電撃小説大賞《金賞》受賞作。