著者 : 金蓮花
瑠璃の音瑠璃の音
山吹泉は向が丘女子高二年生。悩みらしい悩みもない、平凡な日々を送っていた。「先生が一人、こなくなるわ」予知能力を持つ親友の茅世の言葉どおり、暮林先生が入院し、かわりに美貌の音楽教師・榊がやってきた。榊は泉に「帰りましょう」と氷のように冷たく語りかける。その瞬間、全身に悪寒が走り、泉はその場から逃げ出していた。泉は榊の存在に、いいしれぬ不安を覚えるが…。
月の迷宮陽の迷宮(中編)月の迷宮陽の迷宮(中編)
ヨゥンとの鉄格子ごしの抱擁から、数日後、国王カイエンがキルリン城を訪れた。カイエンはヨゥンを迎えにやってきたのだという。御前試合の後、カイエンに呼ばれたセナルは自分が近衛隊の一員として、ヨゥンとともに水の都・ファロンに行くことを告げられる。都へ帰る途中、古人の巫女ノエナを訪ねたカイエンたち。そこで行われた儀式で、セナルはヨゥンの意外な秘密を知るのだった…。
月の迷宮陽の迷宮(前編)月の迷宮陽の迷宮(前編)
水の都ファロンを襲ったナリ川の氾濫から、十八年の歳月が流れていた。ツオラ家の次男セナルは、愛馬の雪白を譲ってほしいという若き騎士・ヨゥンの申し出に困惑していた。ヨゥンと騎射の勝負をしたセナルは、雪白を手放すことを決心するが、かねてからの夢だった騎士になるため、ヨゥンの従者を務めることになる。なぜかセナルは、ヨゥンに接するたびに不思議な愛しさを覚えるのだった。
蝶々姫綺譚蝶々姫綺譚
春風とともに銀葉亭を訪れた蝶々姫・明蘭には、哀しい恋の想い出があった。ただ一度だけ出会った許婚者・連翹の君との死別によって魂が体を離れ、風精として転生したのだ。鶯の精の仕返しにあい、瀕死の傷を負った明蘭は、李月流らによって命を救われた。その時出会った楓の精・金楓英と、明蘭は新たな恋に落ちるが…。表題作ほか第23回コバルトノベル大賞受賞作『金剛山(くんがんさん)綺譚』収録。
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