著者 : 鳴海雪華
僕・柊透葉は、クラスメイト・暁月杏の「エモ探し」に協力させられている。深夜のプールに忍び込んだり、夕暮れの教室で黄昏れてみたり。明るく可愛く真面目で優しい優等生で通っている暁月には秘密があって、月に一度、エモくならないと死んでしまうらしい。あんまり深入りしたくないけど、僕は僕で彼女に弱みを握られているから、協力するしかない。可愛い暁月と一緒に綺麗なものを見られるんだし、少しばかり役得に感じてもいいのかもしれないけど…。でも、「私の初恋になってよ。私をドキドキさせて、エモくさせて?」ってそれはちょっと僕に求めすぎじゃないか?
文化祭でのテロを成し遂げた蓮と胡桃。しかし、腐った現実はそう簡単には変わらずーたった数日で、最悪な進学校は元の姿を取り戻しつつあった。そして迎えた夏休み。悪辣な夏季講習を破壊するため、二人は再びテロを企てるがー「-君たちだよね?学校に対して嫌がらせしてるの」なぜか二人の犯行を知っている学年トップの優等生・七々扇奈々により二人だけの世界は破綻し始める。二人の仲間になるため大規模なテロを起こすと宣言する七々扇と、それを阻止するためさらに大きなテロを企てる胡桃たち。二つのテロが交差する中で夏目が見た、学校の新たなる真実。悪いコでいるのも、簡単じゃない。新人賞“優秀賞”受賞の青春ピカレスク・ロマン、第二弾!
暴言。人格否定。学力差別。価値観が歪んだこの進学校で、その後輩は突然僕に手を差し伸べた。黒髪に隠したインナーカラーをなびかせ、悪戯っぽく微笑む彼女の名前は星宮胡桃。「私、退学するんです。でも、逃げただけになるのは絶対に嫌ーだから先輩、一緒に学校を壊しましょう」有無を言わさず手を握らされ、巻き込まれる。二人ぼっちの反逆の日々。放課後、二人きりの部屋で、僕らはテロを企てる。そして、不純異性交遊に勤しむ。罪を重ね、唇を重ね、背徳的に堕ちていく。「ねえ、先輩。キスも立派な反抗になると思いませんか?」これは常識を捨て、優等生をやめ、大人への反逆を誓うーそんな僕らの、悪いコのススメ。